テレビ朝日系のニュース番組「ニュースステーション」が放送終了してから10年が経とうとしている。人気番組だったが、メーンキャスターの久米宏さん(69)が個人的な意見を積極的に発することで、反発の声も根強かった。
そんなニュースステーションについて、久米さんが10年越しにラジオ番組で振り返った。当時大きな問題になった「所沢ダイオキシン騒動」についても語っている。
「いろんな所に迷惑かけた」久米の反省に爆問太田爆笑
久米さんは2014年2月23日放送の「爆笑問題の日曜サンデー」(TBSラジオ系)にゲスト出演した。
司会の爆笑問題は、01年1月放送のNステで視聴者プレゼント企画をやった際、2人揃って司会として出演したことがある。その時に太田光さんが「僕がちょっと失言して久米さんにご迷惑かけた」と切り出すと、久米さんが「ニュースステーション自体失言の多い番組だった」とぶっちゃけた。
田中裕二さんが「久米さんどんだけ叩かれたか!」と笑いながら言うと、久米さんは「サンドバッグでしたから」と自身の叩かれっぷりを振り返りつつ、「僕は思いつきの失言はしないんですよ。失言は予定通りです」と暴露した。
「失言は失言をするようなシチュエーションでしないと面白くないから、失言をするシチュエーションを僕なんかの場合は、ニュースステーションの場合は自分で演出するわけですよ。ここで失言しそうだなって時に予定通りしないと面白くないんですよ、見てる人はね。盛り上がってきてケンカ半分になった所で思わず言ったようにして、ずっと用意してたやつ(失言)をかますって感じですよね。ここだったら人間言いそうだよなってとこで言ってあげないと、見てる人は面白くないじゃないですか」
失言によって問題が起きることは「想定内」というが、田中さんに「まさかここまで(大ごとになるとは)ってのはあったでしょ?」と聞かれると、「地域的にも、所沢の方とか、いろんな所に迷惑をかけた。裁判所に呼ばれそうになるし」と笑いまじりに回答。太田さんに爆笑されていた。
Nステの報道きっかけで所沢産野菜の価格暴落
久米さんの言う「所沢の方に迷惑をかけた」とは、ダイオキシンが社会問題として騒がれていた1999年、埼玉・所沢市の葉物野菜から高いダイオキシン濃度が検出されたとNステで報じたことだ。
実際にダイオキシンが検出されたのは煎茶で、飲んでも健康に害はない程度だったのだが、報道をきっかけに大手スーパーが所沢産のほうれん草などの野菜を扱わなくなり、価格が暴落した。
放送の2週間後に久米さんが農家を訪れ謝罪したが、農家側は風評被害を受けたとして、テレビ朝日を相手取り損害賠償などを求める訴訟を起こした。テレ朝は2004年、農家側に謝罪し、和解金1000万円を支払った。
久米さんは1996年にも、インドのルポにおいて、インド人が流暢な日本語で話すVTRを見て「外人の日本語は片言がいいよね」と言い放ち、米国出身で日本国籍を取得した人権活動家・有道出人さんらが抗議文を送るということがあった。
久米さんは10年後の2006年になってこの抗議を知り、有道さん本人に「『島国根性』の視野の狭さ、と反省しています」「今頃何をとお思いでしょうが、心からお詫びします」と謝罪している。