互いに学び合い、励まし合いながら、まちづくりに参加する道を考えよう――。被災した岩手県三陸沿岸の県立高校の生徒による初の「沿岸地区高校復興交流会」が2月15日、大槌高校で開かれました。住田、高田、大船渡、釜石、釜石商工、宮古、宮古工業、宮古水産、大槌の9高校から56人が参加し、復興に高校生の声を届けようと論議しました。
交流会では、復興に向けて、「おおつち再生5大戦略」をまとめた大槌高校がその活動を報告し、その後のワークショップで、テーマごとに6グループに分かれて論議し合いました。
「故郷への想い」がテーマのグループでは、「人と人との関係が深い」「サケがおいしい」「祭りが盛んだ」などと、故郷の良さを見詰め直し、「復興の状況についてどう感じているか」のグループでは、「盛り土が始まり、町の様子が少しずつ変わってきている」「復興に熱心な人とそうでない人との温度差が目立つ」「役場まかせ」といった見方が寄せられました。
「復興について私たちができること」のグループでは、「ボランティアで花を植える」「ゴミ拾いする」「世界に、全国に復興の様子を伝える」という具体的な活動の内容が示されました。また、「私たちの将来の夢」のグループでは、「町に貢献できるような職につきたい」「地域のために働く人になりたい」という夢が語られました。
交流会は大槌高校復興研究会が中心になって企画されました。大槌高1年の千葉陽斗(たかと)君は「皆さん、故郷が好きで活気を取り戻したいという気持ちを強く持っていることが確認できました。交流で視野を広げることも出来ました。今後も続けていきたい」と抱負を述べました。
高田高1年の佐々木鈴華さんは「心の復興というような様々な意見を聴くことができ参考になりました」と語りました。
交流会を見守った大槌高副校長の佐藤一也さんは「生徒たちが復興についての情報を共有しながら、学び、考え、話し合い、発信する場になってほしい」と話しました。
大槌高校では、昨年、「歴史文化を受け継ごう」「愛着のある自然を守り育てよう」「自分たちのまちは自分たちで考え決めよう」などの五つの戦略と三つの基本方針を立てて検討を重ね、「おおつち再生5大戦略」をまとめ、町役場幹部に説明しました。具体的には、祭りを通じて郷土芸能団体の交流会を開いたり、観客に参加してもらったりすることで観光客を呼び込む案、地酒を使ったり、海産物を使ったりしながらB級グルメを開発する案、世代間、地域間交流を深めるために大運動会を開く案などが提案されました。
(大槌町総合政策課・但木汎)
連載【岩手・大槌町から】
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