日立が「日立マクセル」を独立させ、再上場する理由 黒字でも「非中核事業」は切り離す

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日立本体とは方向性が異なる事業と判断

   日立としても、本体はインフラなど、大型の製品・サービスを中心とした「社会イノベーション事業」を成長の柱と位置づけている。マクセルは優良会社であるとはいえ、小型の製品・サービスを機動的に展開する必要があることから、日立本体とは方向性が異なるとの判断もあるとみられる。

   マクセルの2013年3月期の連結業績は、売上高1092億円、経常利益19億円、純利益5億円。収益力が高いとはいえないが黒字は維持している。黒字であっても「非中核事業」は大胆に切り出すという日立の方針が、より鮮明になったといえる。

   日立は2009年3月期連結決算で7873億円という空前の巨額の最終赤字を計上した。そこからV時回復を遂げたのは、今回のような矢継ぎ早の「選択と集中」があった。ハードディスク駆動装置事業を米企業に売却したほか、中小型パネル事業はジャパンディスプレイに統合。海外空調事業は米社と合弁化し、火力発電システムは三菱重工業と事業統合するなど、非中核事業をどんどん切り出してきたのだ。

   もちろん、切りだすだけではない。医療機器、医療情報システムなどを手がける日立メディコをこの3月1日に完全子会社化する予定だが、これはメディコが手がけるヘルスケア分野を「社会イノベーション事業」の重要分野と位置づけているためだ。

   ただ、相次ぐ「切り出し」の結果、連結売上高は2008年3月期の11兆円から、2013年3月期は9兆円と2兆円も落ちている。20 16年3月期に10兆円への回復を目標に掲げており、既存事業の「選択と集中」とともに、「中核事業で海外企業を買収するなどの成長戦略が必要」(業界関係者)との指摘も出ている。

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