安倍政権のエネルギー政策に影響必至
電源開発の北村雅良社長は「最新鋭の技術を適用した安全性、信頼性の高い発電所で、核燃料サイクルの一翼を担う重要な発電所だ」と、主張してきているが、工藤市長は「最も危険といわれるフルMOXを世界で初めてやるのに説明もない。そんないいかげんな話はない」と批判した。
2008年5月に着工した大間原発は、中国電力の島根原発3号機、東京電力の東通原発1号機と並び、国内で建設中の原発3基のうちの一つだ。電源開発は当初、2014年11月の営業運転開始を目指していたが、「運転開始時期については今後、具体的な工事状況等を踏まえ、検討していく」としている。
北海道では函館市だけでなく、道内35しで組織する「北海道市長会」も2012年11月、(1)原発事故を教訓に、将来的に原子力に過度に依存することのないようエネルギー政策を見直す、(2)函館市や北斗市をはじめとする北海道内の自治体等への十分な説明もなく再開された大間原発の建設工事は中止する――ことを政府に要請している。
安倍首相は原発の新増設について「現在のところ全く想定していない」としているが、「建設中の大間原発や、建設がほぼ終わっている島根原発3号機は新増設のうちには入らないと思う」と述べ、将来的に電力会社から運転に向けた申請が出れば、原子力規制委員会で審査していく方針だ。建設中の原発をめぐる自治体初の差し止め訴訟が、原子力行政に一石を投じるのは間違いない