従軍慰安婦「河野談話」の信ぴょう性揺らぐ 元官房副長官国会証言でズサン作成過程明らかに

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   いわゆる従軍慰安婦動員の強制性を認めたとされる1993年の「河野談話」の信ぴょう性が、談話作成を指揮した石原信雄・元官房副長官の国会証言で揺らぐことになった。

   談話は元従軍慰安婦を名乗る女性の証言を根拠に作成されたが、女性が強制的に連行されたという資料は見つからなかった上、証言に対する裏付け調査も行われていなかった。また、談話の発表前に内容を韓国側と調整することは「当然行われたことは推定される」とした。政治決着を急ぐあまりに、ずさんなプロセスで談話が作成されていたことが改めて明らかになった。

「強制的に集めるといったようなことを裏付ける客観的なデータは見つからなかった」

   石原氏は2014年2月20日の衆院予算委員会で、日本維新の会の山田宏議員に対して答弁した。石原氏によると、韓国側の求めに応じて調査を進めたが、

「アメリカの図書館にまで行って調べたが、女性達を強制的に集めるといったようなことを裏付ける客観的なデータは見つからなかった」

といい、物証は発見されなかったことが判明した。韓国側は収まらず、元慰安婦の女性へのヒヤリングを要求。その結果、

「最終的に『日韓両国の将来のために彼女の話を聞くことが事態の打開になるのであれば』ということで、16人の慰安婦とされた方々からその当時の状況を客観的に公正に話していただくということで」

という2つの条件付きでヒヤリングを行うことを受け入れた。このヒヤリングでは、

「募集業者の中には、かなり強引な手段で募集した」
「だまして連れてきた」
「募集の過程で当時の官憲がかかわった」
「かなりおどしのような形で応募させられた」

といった証言が出た。このことが河野談話につながった。

日韓で内容を調整していた可能性も強く示唆

   ただ、慰安婦女性が連行されたと主張している場所には実際には慰安所は設置されていなかったという指摘があるなど、証言の信ぴょう性には疑問も出ている。このあたりの整合性を確認する裏付け調査については、韓国側が「当時の状況を客観的に公正に話す」人をヒヤリングの対象として選んだことを理由に、

「一般論としてはこの種のものは裏付けをとるということはあるのだろうが、あの当時の状況としては、そういうことを要求する雰囲気ではなかったと思っている」

と釈明した。

   また、政治決着を目的に、談話の発表前に日韓で内容を調整していた可能性も強く示唆した。

「談話が出された後、韓国側は、これで過去の問題は一応決着したという姿勢だった。韓国政府がこの問題を提起することは、しばらくなかった。私の在職中はまったくなかった。従って、そういうような(過去の問題を決着させる)効果を持ったと思う。作成過程で意見のすりあわせというものが当然行われたことは推定されるが、私自身はそのことにタッチしていないので確認できない」

慰安婦問題を蒸し返しについて「日本政府の善意が生かされていない」

   さらに、河野談話を出したことは「苦渋の選択」で、最近になって韓国政府が慰安婦問題を蒸し返していることについては、

「私は当時の日本政府の善意が生かされていないということで非常に残念だと思っている」

と悔やんだ。

   また、政府や軍の直接的な関与については改めて否定した。

「談話の文言にもあるように、主として募集は業者が行った。その業者の募集の過程で官憲とか軍が関わった可能性があるという証言になっており、日本政府あるいは日本軍の直接的な指示で募集したということを認めたわけではない」

   ずさんな作成過程が明るみになったことで、見直しに向けた動きも出てきた。菅義偉官房長官は、

「この問題についても、学術的観点からさらなる検討が重ねられていくことが望ましい」
「検証方法は、(証言が非公開だという)機密の中でどうできるか検討したい」

と答弁。韓国側は強く反発したが、翌2月21夕方の記者会見でも、

「日本とすれば、国会で質問されて、政府としての思いを私が述べたということ」
「第1次安倍内閣でも閣議決定をする中で『強制性はなかった』ということは明言している。そうしたことも含めて、聞き取り(調査について)の検討は約束したものなので、保秘、機密保持を前提にやっていきたい」

と調査に前向きな答弁をした。

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