森元首相「真央は必ず転ぶ」発言波紋止まらず 全容記事で新たな「失言」も浮上

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   ソチ五輪フィギュアスケートに日本中が熱狂していた2014年2月20日、森喜朗元首相の「問題発言」が各メディアに取り上げられ、物議を醸した。浅田真央選手について「大事なときには必ず転ぶ」などとコメントしたことから非難が集中したのだ。

   その後、コメントの全容が明らかになると、インターネット上では「最初の報道と印象が違う」「メディアが恣意的に切り取りすぎ」といった擁護の声もあがったが、一方で新たな「失言」も浮かび、余波は広がり続けている。

「森喜朗は大事なときには必ず失言する」

森元首相の発言が波紋(画像は公式サイトのスクリーンショット)
森元首相の発言が波紋(画像は公式サイトのスクリーンショット)

   森元首相は2014年2月20日、福岡市で行われた「毎日・世論フォーラム」の講演でソチ五輪に出場している浅田真央選手の話題に触れた。19日(日本時間20日未明)に行われた女子シングルのショートプログラムで、浅田選手は冒頭のトリプルアクセルで転倒するなどのミスを重ね、16位スタートと大きな遅れをとってしまった。翌日に行われるフリーでの巻き返しを日本中が願っていた。

   そうした状況下で、森元首相の「問題発言」が各メディアに報じられた。多少の違いはあるが、主に取り上げられているのは、浅田選手について「見事にひっくり返ってしまった。あの子、大事な時には必ず転ぶんですよね」とコメントした部分、さらに団体戦について「負けると分かっている団体戦に浅田さんを出して恥をかかせることはなかった」と述べた部分だ。発言はテレビでも流され、動画で確認もできる状態だった。

   インターネット上では森元首相批判の大合唱となった。森元首相が東京五輪・パラリンピックの組織委員会長を務めていることも大いに影響し、「最低だな」「表に出てこないで」「森喜朗は大事なときには必ず失言する」「人をイラつかせる天才やな」などとコメントが相次ぎ、Yahoo!トピックスにも取り上げられたことで、反響は大きくなっていった。

「そんなに悪い感じではないね」

   ところがその後、発言をより詳しくした記事が出るにつれ、「そんなに悪い感じではないね」「最後まで読むと全くニュアンスが変わる」と擁護論も聞こえてくるようになった。ラジオ番組「荻上チキ・Session-22」(TBSラジオ)の公式サイトに掲載された発言の書き起こしをみてみると、たとえば「必ず転ぶ」発言は、30番目に登場する浅田選手を心待ちにしていた視聴者の心境に寄り添うような流れの中で語られたものだということが分かる。

「ショートプログラムだから、1回何分かな。3分半くらいかな。そんなもんだったと思いますけど、それ全部やって一番最後に真央ちゃん。なんとか頑張ってくれと思って皆見ておられたんだろうと思いますが、見事にひっくり返っちゃいましたね。あの子、大事なときには必ず転ぶんですよね。なんでなんだろうなと」

   また、浅田選手を団体戦に出したことに対する発言は、浅田選手のトリプルアクセルに期待を込めた協会側を批判する文脈で語られたもので「(団体戦での転倒による)傷が浅田さんに残っていたら、ものすごくかわいそうな話なんですね。負けるとわかっている団体戦に何も浅田さんを出して、恥かかせることなかったと思うんですよね。その、転んだということが心にやっぱ残ってますから」となっていた。森元首相は「なんとしても転んじゃいかんという気持ちが強く出た」とショートプログラム時の心境を分析し、「ちょっと運が悪かった」と浅田選手を気づかった。

   これを受け、擁護の声も目立つようになり、「悪いのは省略しまくって広めたやつ」「メディアの嘘に騙されたらダメ!!」「マスコミの情報操作=プロパガンダがすごくわかる」と怒りの矛先をメディアに向ける人も少なくなかった。

アイスダンスの米在住ペア「出るだけの力量ない」

   とはいえ、発言の一部に配慮が欠けていたことに変わりはない。21日には下村博文文部科学相が「問題視するような報道がされたということであれば、気を付ける必要があると思う」と語り、舛添要一都知事も「若干困ったことだ。今後はおっしゃらない方がいいとやんわり進言したい」と苦言を呈したと報じられている。

   一方、ネット上では更なる「失言」の指摘も出てきた。前出の「書き起こし」などによると、ソチ五輪視察の話の中で、飛行機の連絡が悪く東京から27時間ほどかかると苦労話をした後に、3月のパラリンピック視察に言及した。五輪だけ行って障害者のほうをおろそかにしていると言われるといけないので「ソチへまた行けと言うんです」と内実を語り、「『ああ、また20何時間以上も時間かけて行くのかな』と思うと、ほんとに暗いですね」と述べたという。

   また、団体戦種目のアイスダンスについては「日本にできる人はいない」と指摘。出場したアメリカ在住のキャシー・リード、クリス・リード両選手については「まだオリンピックに出るだけの力量ではなかったんだということですが、日本にはいないもんですから、あの方を日本に帰化させて日本の選手団で出して、点数が全然とれなかった」と語っていたという。

   こうした新たな火種から「文脈を踏まえた上でも、今回の森喜朗さんの発言はなかなか地雷だらけ」「全文読んでも、会長職としてさらに問題発言であるとしか思えないのだが」と批判にも拍車がかかっている。

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