欧米から一方的に批判を受けることが多い日本のイルカ漁について、批判の妥当性について疑問視する意見が欧州の雑誌で発表され、話題になっている。
牛やブタを殺すことには何の批判が出ないにもかかわらず、イルカだけ問題視されていることの不自然さを指摘する内容だ。この文章は日本語に翻訳され、欧米人の意見としては珍しいこともあって日本のネット利用者に共感が広がっている。
「ザ・コーヴ」にも違和感 「ウシやブタのためにTVシリーズを制作したりはしない」
イルカ漁非難を疑問視する投稿をしたのは、ジャーナリストで映画監督のミシェラ・デル・アミーコさん。雑誌「ワイヤード」(WIRED)イタリア版のウェブサイトに2014年1月23日に掲載され、その翻訳が2月18日になって日本語版に掲載された。
アミーコさんが示している論点はきわめてオーソドックスだ。
「イルカ漁で用いられている畜殺技術、つまり鉄の鉤による脊髄の切断は、動物の苦痛を避け最小化しているといわれる。こうしたことは、ニワトリやウシの命がまったく尊重されていない、西洋の畜産業界において見ることはできない。わたしたち西洋人は、わたしたちが日々行っている虐殺を棚に上げて、意見を言うことができるのだろうか? わたしはそうは思わない」
牛やブタが食肉用に殺されていることについては全く問題視されない半面、イルカが特別視されていることに疑問を呈する内容だ。
和歌山県太地町でイルカ漁を隠し撮りしたドキュメンタリー映画「ザ・コーヴ」についても、違和感があるようだ。
「わたしたちは毎年、太地町で起きていることを映像や写真を通じてたくさん見るけれど、ウシたちの身に起こっていることを見ることほとんどない。そもそも誰も、ウシやブタのためにTVシリーズを制作したりはしない」
「牛は頭が悪い」といった俗説についても、
「昔ながらのやり方で彼らの世話をしたなら、ウシたちはそれぞれ性格にも違いがあり、あなたがやってくるのを見て喜びもするし、目や、鼻面をぶつけることや尻尾で叩くことで会話をしていることがわかるだろう」
と反論している。また、母親は農業を営んでいるといい、
「ウシたちを殺さねばならないとき、ウサギやニワトリ以上に母は動揺することがあった」
ともつづった。