太陽光発電大儲けのコツ 「早めの認可、遅い建設」

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

   経済産業省は、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の導入にともなって太陽光発電事業の認可を受けていたにもかかわらず、事業を始めようとしない859案件に問題があるとして、事情を聴いたうえ認可取り消しを検討する。

   太陽光発電事業者は発電設備の建設が認められても、発電を開始しなければいけない時期については制限がない。そのため、太陽光パネルが急速に値下がりしているため、事業開始を遅らせ、儲けを大きくしようとする業者が多いからだ。

発電が始まったのは、件数で22%、発電量で8%

認可を受けて発電を介している施設は発電量でまだ8%しかない(写真はイメージ)
認可を受けて発電を介している施設は発電量でまだ8%しかない(写真はイメージ)

   経済産業省によると、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度で2012年度中に建設認定を受けた太陽光発電の発電設備(400キロワット以上)は4699件、1332万キロワットにのぼる。ところが、実際に発電が始まったのは1049件、110万キロワットにとどまる。件数で全体の22%、発電量ではわずか8%に過ぎない。

   発電事業が進まないのは、認定だけを早く受けておいて、発電設備を建設しない業者が少なくないからだ。

   電力会社に電気を買ってもらうときの買い取り価格は、太陽光発電の場合、2012年度が1キロワット時あたり42円、13年度は同38円と、太陽光パネルの値下がり分などを反映して年々下がっている。14年度分は現在見直中で、「3月には決めます」(経産省)という。

   しかし、この買い取り価格は10年間にわたり適用されるため、参入業者は少しでも高い価格で買ってもらおうと早めに認可を受けようとする。 その一方で、儲けが大きくなるように、太陽光パネルの値下がりを待つ事業者が現れていた。

   太陽光発電事業の認定には発電開始の期限はないが、経産省は太陽光発電事業の普及の妨げになると判断。2014年2月14日の経産省の発表では、4699件のうち、すでに設備の設置を断念した案件は419件、90万キロワット。このほか、運転を開始していない案件のうち、設備の設置場所も設備の発注も決まっていない案件(被災地を含む)は758件、465万キロワット。さらに確認できていない案件が101件、15万キロワットある。

   そのため3月をめどに、これらの事業者から事情を聞いたうえで事業が前進しないと判断した場合には認可を取り消すことにした。

太陽光パネル、5年前から3割~5割下落

   太陽光発電の買い取り価格については、当初から「高い」との指摘があった。しかし経産省は、東日本大震災後の電力不足やエネルギー価格の高騰もあって、普及を最優先に考え、申請を受け付け、認可していた。

   その半面、太陽光パネルの値崩れを懸念する声も高まっていた。国を挙げて太陽光発電に力を入れていたドイツで、世界最大の太陽電池メーカーのQセルズが2012年4月に経営破たん。その原因が、中国メーカーの「投げ売り」による太陽光パネルの価格崩壊だったことがある。それと同じことが日本でも起こりかねないとみられていた。

   実際、パネル(モジュール)の価格は値下がりしている。メーカーによって幅があるが、現在は1キロワットあたり約48万3000円~82万3600円程度。5年前と比べて3割から5割程度にまで下落している。これまでも、「(認可事業者に)発電を開始しなければいけない時期に制限を設けなければ、きりがない」との指摘もあった。

姉妹サイト