安倍晋三首相が大雪の日に官邸におらず、支援者と天ぷら会食をしていた――。ネット上でこんな批判が出ると、反論も次々に寄せられて論議になっている。
きっかけは、首相動静が報じられたことだった。関東でも大雪の影響が続いた2014年2月16日、安倍晋三首相は、朝から私邸にいて、夕方になって、東京・赤坂の天ぷら料理店で支援者と2時間会食してから、私邸に戻っていた。
三宅雪子さん「会合場所を公邸にできなかったのか」
この日の前日は、山梨県で1メートルを超える積雪を記録し、陸の孤島状態だと報道などで伝えられた。車や電車の中で長時間閉じ込められる人が続出し、ネット上でも騒ぎになっていた。
そんな中で、首相動静の内容に批判が集まった。安倍首相のフェイスブックにも次々に意見が書き込まれ、それに対し首相の支援者らが反論して炎上状態になっている。
著名人らも、次々に意見表明した。前衆院議員の三宅雪子さんはツイッターで16日、庶民には手の届かない高級料理店にいたことを疑問視した。そして、「何も口にできず、寒い中耐えている方々がいるというのに。せめて、会合場所を公邸にできなかったのか」と不満をぶつけた。
音楽評論家の湯川れい子さんも、「山梨近辺はもう3日も孤立状態で死者が出ている緊急事態だというのに、どうして安倍さんはノンビリと天ぷらなど召し上がって居られるのでしょうか?」とツイートした。また、メディアジャーナリストの津田大介さんもツイッターで、会食を優先させるタイミングではなかったと疑問を投げかけた。そのことに批判が寄せられると、「『大雪で山梨が大変そうだから会食延期します。落ち着いたらおいしい天ぷら食べましょうね』と連絡して弁当食べればいいだけでしょ」と反論した。
政界からも批判が出て、民主党の海江田万里代表は、17日の会見で「初動が遅れたというそしりを免れない」と指摘した。
著名人らのツイート、炎上して釈明に追われる
この騒ぎに、安倍首相側も2014年2月17日、首相官邸のフェイスブックで事情を説明した。
そこでは、被災者へのお見舞いの言葉を述べるとともに、政府は、降雪前の14日から災害警戒会議を開くなどして事前対策の確認を行ったとした。また、15日からは、災害派遣の自衛隊が除雪や輸送などを行い、警察や消防は被害発生後の初動対応に当たり、国や自治体も懸命の除雪作業をしていると強調した。
ただ、政府調査団の派遣が17日になり、豪雪非常災害対策本部の立ち上げは18日になったことで、新聞などからも対応が後手に回ったと批判が出ている。これに対し、菅義偉官房長官は18日の会見で、「首相の指示で古屋圭司防災相がしっかり対応している」と理解を求めた。
一方、意見表明した著名人らは、その後は、発言について批判も浴びている。
三宅雪子さんは、自らはできることをやったのかと問われ、「とにかく相手の気持ちになって、私はダイレクトメールで励ましたりしていました。また、調べて欲しいと言われたことを調べたり」とツイッターで釈明した。湯川れい子さんも同様に、「今出来ることは、必要な情報を出来るだけ拡散するお手伝いを。後は知っている議員さんに電話」などと自らの活動を述べていた。
津田大介さんにも、「天ぷら屋で会食止めて官邸で弁当食ったら何か事態が好転するのか?」といった疑問が相次ぎ、「『弁当食え』じゃなくて現場に任せる指示済みでも不測の事態発生したらすぐ次の指示出せるよう待機しておいた方がいいんじゃないの」などと説明に追われた。そのうえで、「政府の動きも紹介してたんだけど、表現の仕方もまずかったんだろうなとは思いました」と炎上した反省の弁も述べていた。