東急電鉄、大雪の日にブレーキ効かずオーバーランが10件 「元住吉駅」衝突事故は速度制限をしなかった「人災」なのか?

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   記録的な大雪に見舞われた2014年2月15日の午前0時半ごろに、川崎市中原区の東急東横線「元住吉駅」で車両同士の衝突事故が起こった。「ブレーキをかけたが間に合わなかった」という。その後の調べで、14日の始発からこの衝突までに東横線で10件ものオーバーランがあり、うち2件は事故現場と同じ元住吉駅のホームで起きていたことが分かった。

   雪の影響でブレーキが効きにくくなっているわけなのに、追突した電車は通常通りの時速80キロで走行し、運行速度を落とせという指示は出していなかった。他の私鉄に話を聞くと、45キロ以下で駅間を走れといった指示を出したところもある。なぜオーバーランが相次いだにもかかわらず東急電鉄は通常速度で運行させていたのだろうか。

ネットでは「そりゃいつかは事故るわ」との書き込み

   東急電鉄の説明によれば、先行していた電車がオーバーランしたため指令室は後続の電車に停車命令を出した。衝突した電車は「元住吉駅」の手前約600メートルで非常ブレーキをかけたが、すぐには速度が落ちず、30キロから40キロのスピードで先行の電車に衝突した。これによって後続電車の1、2両目が脱線し運転席のフロントガラスなどが大破、乗客計19人が打撲などのけがを負った。翌日は東横線と目黒線の一部区間で運転を見合わせ、55万5千人の乗客に影響が出た。

   ここで問題になるのは雪の影響でブレーキが効きにくくなりオーバーランを繰り返している状況下で、なぜ通常とほぼ同じ80キロで運行させていたのかという点だ。ネットでは、

「10件のオーバーランがあったんだろ?でも徐行運転の指示は無しと。そりゃいつかは事故るわ」
「徐行指示してなかってさ。指令は馬鹿じゃないのかね」

などといった書き込みが掲示板やブログに出た。

東武鉄道は速度45キロ以下にする指示を出していた

   東急電鉄広報に話を聞いてみると、衝突を防ぐための自動列車制御装置(ATC)が設備されている車両であり、運転士も手順通りに運行していた。追突した車両に停止命令が出た場所での時速は80キロだったが、ATCの上限である95キロを下回っているため衝突が起きるはずのない速度だ。このATCの上限は、天候によって変更することはないのだという。

「事故当時にATCは正常に稼働していたため、どうして事故が起こったのかについての判明を急いでいます」

ということだった。速度規制をすれば事故を防げたのではないか、という質問については、

「そういったタラ・レバについては回答ができません」

ということだった。

   他の私鉄に話を聞いてみたところ、名前を出さないという条件で、2月14日には雪の影響でブレーキが利かずにオーバーランをする電車があった、と打ち明ける会社があった。そのため、雪が激しくなった夕方頃から電車のスピードを落とすように速度規制を行った、という。

   また、東武鉄道に話を聞くと、14日にオーバーランは無かったということだが、安全のため雪の状況を見ながら適切な判断による運行を徹底させ、日光線、宇都宮線は運休にしたほか、走らせる電車の本数を減らすなどした。速度制限も行っていて、東京の「池袋駅」から埼玉県の「寄居駅」までを結ぶ東武東上線に関しては、

「駅間の速度を45キロ以下にするよう指示を出し安全運行に努めました」

と東武鉄道広報は話している。

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