メリットが小さい場合は交渉を中断する意向
一方、EUはワインと同じように主力輸出品と位置づけているチーズについても、日本に関税撤廃を求めたい意向。しかし、チーズなどの乳製品は、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉で、日本が〝聖域〟とする農産品の「重要5項目」(コメ、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖)に含まれる。このため、EUは日本側が受け入れる可能性は低いと見て、当面は撤廃を求めない方針とされる。
また、EU側は日本車にかけている10%(乗用車)の関税撤廃の提案に踏み切る見通しだ。ただ、イタリアやドイツなど域内に多くの自動車メーカーを抱えるEUは、自動車の輸出増を強く望んでいるとされ、日本の安全基準に関わる規制緩和など非関税障壁の撤廃を強く求める構えとされる。
交渉が積極的に展開される方向になっているのは、EUが行う再検証作業がある。EUは交渉開始から1年後に交渉内容を検証し、メリットが小さい場合は交渉を中断する意向を示している。中断を避けるには、双方に利点がある具体的な交渉を積み重ねる必要があり、日EU双方の大胆な提案合戦につながる可能性もある。