米国のヌーランド国務次官補(欧州・ユーラシア担当)とパイアット駐ウクライナ米大使がウクライナ情勢をめぐる欧州連合(EU)の対応を強く批判する会話を盗聴され、動画サイト「ユーチューブ」に公開された。ヌーランド氏はEU側にすぐさま謝罪したとされるが、ドイツのメルケル首相から怒りの声が出るなど波紋を呼んでいる。
ウクライナでは2013年11月にヤヌコビッチ大統領がEUとの自由貿易協定を締結せず、ロシア寄りの姿勢を鮮明にし、これに反発した国民の抗議デモが発生した。
デモを続ける野党指導者らについても言及
EUとの結び付きを強め、経済成長が可能になるとの希望が国民にあっただけに、ロシア依存を深める現政権への不満が爆発、多数の死者が出る激しいデモが続いている。米国やEUなどが動き始めたが収束する見通しは立っていない。
盗聴されたのは、こうしたウクライナ情勢についてヌーランド次官補らが電話で交わした会話で、14年2月4日に公開された。会話の中でヌーランド次官補は、国連の潘基文事務総長が、オランダのロバート・セリー元駐ウクライナ大使を国連特使としてウクライナへ派遣する意向があるとして評価し、「この混乱を国連が手堅くまとめてくれる」と述べて期待をにじませた。その一方、EUについては「くそったれ」とののしり、ウクライナに影響力を発揮できていないと強く批判した。さらにデモを続ける野党指導者らについても言及しており、元ボクシング世界王者のクリチコ氏を「政権に入るべきでない」とも指摘していた。