就任以来「反日」路線を貫いている朴槿恵(パク・クネ)大統領に、意外にも「日本語が話せる」との話が浮上し、インターネット上で注目を集めている。
朴槿恵大統領といえば、英語や中国語のスピーチを披露したこともあり「語学堪能」のイメージはあるものの、韓国事情に詳しい評論家は首をかしげ、真偽のほどは不明だ。
父親は流暢に話す「日本語世代」
日韓首脳会談の呼びかけにも「十分な事前準備が必要」としてなかなか応じず、海外でも日本批判を展開するなど、反日外交を続ける朴槿恵大統領。最近では国内からも「やりすぎ」との見方が強まっているようで、アサン政策研究所(韓国)による2013年の世論調査では、半数以上の58%が朴大統領と安倍首相との首脳会談開催を支持したという。米国も日韓関係の冷え込みに懸念を示し、2月13日には訪韓中のケリー米国務長官が朴大統領らに対して関係改善を強く迫ったそうだ。
そんな朴大統領に驚きの話が持ち上がった。ブログメディア「ゴールドラッシュ」が2014年2月13日に「日本語が話せる」と伝えたのだ。記事は、父親である故・朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領の「親日家」としての側面を紹介したもので、次のように書かれていた。
「もちろん自身(編注:朴正煕)と陸英修は日本語を流暢に話すことが出来る。またあまり知られていないが朴槿恵大統領も日本語を話すことが出来る」
父の朴正煕氏はいわゆる「日本語世代」で、日本語を流暢に話すことができた。満州国から日本の陸軍士官学校に編入、卒業し、終戦は満州国軍の中尉として迎えている。大統領時代にも日本での会談では日本語を使うこともあったとも言われている。だが、娘である朴槿恵も日本語が話せる、との話は出ていない。
記事では朴正煕に主眼が置かれているためか、朴槿恵の日本語力についてはこれ以上書かれていない。根拠らしいことも特に示されず、「両親が日本語を話すことが出来ればごく当然のことである」との記述があるのみだ。
「両親が話せても子が話せることにはならない」
「話せる」との表現がどのレベルを指すのかは曖昧だが、たとえば元参院議員の田村耕太郎氏は13年1月8日、「日本の陸軍士官学校を卒業した父、故朴正煕大統領の娘ということで親日派と期待される朴槿恵次期韓国大統領は、父親と違い、日本語が話せない」とMSN産経ニュースで述べている。
元時事通信ソウル特派員の評論家・室谷克実氏も、訪日時に日本語で話したというのは聞いたことがないとした上で「あの時代(戦後生まれ)の人で、まともな日本語を話すことは難しいでしょう」と首をひねる。日本でいうところのジャパニーズイングリッシュ(和製英語)のように、感覚的に日本語の単語を使っていることはあるにせよ、普通に話すレベルの語学力はないだろうとの見方を示す。
「両親が話せたからといって、朴槿恵が話せるという事にはなりませんよ。であれば、あの時代の人はみんな話せることになってしまいますからね」
朴大統領は母国語のほかに中国語、英語、フランス語、スペイン語が話せるとされていて、特に中国語は精華大学の講演で披露し話題になった。だが、これについても室谷氏は「中国語は大学で勉強したそうですが、電子工学科でなぜ中国語を勉強したのか不思議ですね。スピーチで話す程度はできるにせよ、中国語で普通に会話ができるレベルにはないと思います」と話す。
「現下の状況では一切口にできない」?
だが、「日本語を話せる」とする意見もある。日本財団会長の笹川陽平氏は13年6月、「朴槿恵大統領は5ヶ国語(英語、日本語、フランス語、スペイン語、中国語)をマスターしている」とブログに綴り、日本語については「上手」とさえ評している。だが、「今日の日韓関係は最悪の状態で、韓国メディアは毎日、朝から晩まで反日キャンペーンで喧しい」ため、「現下の状況では一切口にできない」と説明している。
実際に話せるのかどうか、仮に話せたとしてもどの程度話せるのか、などは分からないままだが、記事はガジェット通信が転載したこともあり注目を集め、「安倍は日本語で話かければいいのか。通訳要らないね」「日本語わかるけど喋れないって聞いたんだが」などとさまざまな反応が寄せられている。