2014年4月に消費税率が5%から8%となり、1円硬貨(1円玉)の利用が見込まれることから、政府が2月3日、1円玉の製造を4年ぶりに再開した。
1円玉と5円玉は電子マネーの普及などで需要が減ったため、財務省は市中に流通させる硬貨の製造をしばらくストップしていたが、消費税率の引き上げで1円単位の値上げが増え、「釣り銭需要が高まる」という。ちょっとした1円玉特需だが、電子マネーの普及で増税後も1円玉の需要はそれほど高まらないとの観測もある。
2014年度は1億6000万枚
財務省の指示で1円玉の製造を再開したのは、独立行政法人造幣局の広島支局で、2010年以来、4年ぶり。この間、コレクターなどに販売する貨幣セットとして1円玉を製造することはあったが、市中に流通する1円玉の製造はストップしていた。
1989年の消費税導入時(当初は税率3%)には、定価100円の商品が103円となったため、つり銭用に1円玉の需要が高まり、小売業者の間で深刻な1円玉不足が起きた。当事の大蔵省(現財務省)は大慌てで1円玉の増産に動いた。1997年に消費税率を5%に引き上げた時は、この教訓から1円玉の製造を増やしたので、大きな混乱はなかった。
造幣局によると、1円玉のこれまでの製造枚数は441億枚で、5円玉の141億枚、10円玉の314億枚などと比べ、硬貨の中では最も多い。市場には十分すぎる量が流通しているため、財務省は新たな製造を控えていた。ところが4月の消費税率引き上げで、現行105円の商品が108円となり、再び1円玉の需要が高まると予想されるため、新たな製造に踏み切った。1円玉は2013年度中に約2500万枚、2014年度は1億6000万枚製造する。