2014年1月、妻の連れ子への「強要容疑」で28歳の男が京都府警木津署に逮捕された。暴力的な描写が多いアクションゲームを子供に無理強いした疑いがもたれている。
男が特にプレーを強要していたのは、「グランド・セフト・オートIV(GTA IV)」というゲームだ。残虐性はいかほどか、実際にプレーして確かめてみた。
男児はストレス性の自律神経障害と診断される
産経新聞の報道などによると、逮捕容疑は12年11月から13年4月にかけて、再婚相手の妻の連れ子の9歳の男児に対し、銃撃や殺人、血が飛び散るなどの暴力的な描写が多いゲームを無理にやらせたというものだ。
問題になったゲームは「GTA IV」をはじめ、「メタルギアソリッド4」、「鉄拳タッグトーナメント2」、「喧嘩番長」など。いずれも年齢制限があり、「GTA」は18歳以上のみ、「メタルギア~」は17歳以上、「鉄拳~」は15歳以上、「喧嘩~」は12歳以上が対象となっている。これらを週に2~3回、1回につき2~3時間、自分のすぐ横に座らせて強要していたという。
ゲームをさせるだけでなく、男は妻がいない時、男児に向かって「あほ」「ぼけ」「死ね」「お前なんかいらない」と暴言を吐き、脅えさせていたそうだ。男児は13年4月から腹痛や頭痛、吐き気などを訴えるようになり、5月にはストレス性の自律神経障害と診断された。
歩行者をひこうが構わずゲームは続く
18歳以上対象と最も高い年齢制限にもかかわらず、最も9歳男児が強要されていた「GTA」とは、どんな残虐なゲームなのか。記者も「GTA」シリーズをプレーしてみることにした。挑戦したのは、Androidアプリ「GTA III」だ。
米国の「リバティーシティ」という架空の都市で、護送中に脱走した犯罪者の1人という設定のプレーヤーが、自動車を盗んで移動しながら、到達地点で課されるミッションをこなしていく。ミッションは「俺の女を薬物漬けにした男をバットでぶちのめしてくれ」など犯罪絡みのもので、成功すると報酬がもらえる。
ゲームでは歩行者をひこうが、対向車にぶつかろうが、電柱をなぎ倒そうが、車がひっくり返る、大破・炎上する、警察に捕まるなどしなければそのまま運転を続けられる。ゲームに慣れない記者は、何人もの人をはねてしまった。ミッションをクリアするだけなら歩行者をひく必要はないが、ネット上では、GTA愛好者による「人をひきまくるのも醍醐味」という書き込みもある。
人の悲鳴やクラクションの音、車同士がぶつかり合う音もやかましく、ショックを受ける子供も少なくないだろうと感じられた。
もっとも逮捕された男は「強要はしていない」の一点張り。14年1月28日、処分保留で釈放されたという。