法人税率を下げても税収はむしろ増える?
このほか、企業が子会社などから受け取った配当を収入に含めなくてもよいという「受取配当の益金不算入」(軽減規模年間1兆円)の圧縮も検討課題になる可能性がある。
法人税率を下げても、企業活動が活発になることで収益が改善し、税収はむしろ増える、または理論値ほどは下がらないという議論もあり、そうした視点を含め、どんな規模・テンポで税率を下げながら、どの程度、穴埋め財源を確保するか、複雑な議論が展開される見通しで、着地点はなかなか見通せない。
ただ、法人税減税には「企業優遇」との批判がついて回る。消費税増税で国民が広く増税になる中での企業減税には、当然、世論の風当たりも強い。やはり消費税の転嫁などで苦労する中小企業も、7割が赤字決算で、法人税減税をしても「7割の企業は恩恵を受けられない」(麻生太郎副首相兼財務相)だけに、「大企業優遇」との批判も出てくるところ。
「まず大企業を中心に企業収益を好転させ、雇用・賃金などの形で国民に恩恵を広げるのが安倍政権の経済政策」(大手シンクタンクのエコノミスト)。主に円高で大企業の収益が改善しただけに、賃上げでどこまで国民に恩恵が広がるか――法人税減税には、春闘の行方が大きなカギを握るのは間違いない。