「租税特別措置」や「赤字繰越控除」が縮小か
首相が議論を急ぐのは、財政出動と超金融緩和のアベノミクス第1、2弾で景気が上向いている流れをさらに加速して「好循環」を実現するための「成長戦略」の「目玉」として、法人税率引き下げを位置付けているからだ。
そこで、最大の問題が税収の穴埋めをどうするかだ。税率1%で4700億円、首相サイドが構想する25%水準へ約10ポイント以上引き下げれば、5兆円規模の減収になる計算だ。これは、2014年度予算の税収の1割分に相当することになる。
法人税減税の穴埋め候補で想定されるのは、主に2つ。一つが「租税特別措置」の見直し。研究や投資など一定の条件をクリアした企業の法人税を減免する仕組みで、2014年度予算で、その減免額は9000億円に達する。法人税率2%分だ。これを縮小・廃止し、課税ベースを拡大し、法人税率引き下げの一部を埋めようというのだ。
もう一つが「欠損金(赤字)繰越控除」。ある決算期の赤字を、次の期以降の黒字と相殺できる仕組みで、過去の赤字が大きいと、大幅な黒字でも法人税負担が大幅に軽くなる。不良債権処理で大赤字を続けた大手銀行が10年以上にわたって法人税を納めていなかったとか、政府の支援で経営再建された日本航空がこの制度で納税を免れ、ライバルの全日空が「不公平だ」とかみついたのは記憶に新しいところ。年間の法人税軽減額は2兆円規模に達する。現在、繰越期間は9年だが、これを短縮しようという案が浮上している。