「新保守層」「極右」と賛否分かれる
自民党元衆院議員の早川忠孝さんは、自らのブログで、田母神俊雄氏が60万票の得票を得たことから、保守系政党間で自分の陣営に引き入れようとする競争が始まると指摘した。それは、「日本全国で100万票ぐらい個人で獲得する可能性がある候補者だということになる」からだそうだ。
また、評論家の古谷経衡さんは、ヤフー・ニュースサイト上で、ネット右翼をネット保守と言い換えたうえで、田母神氏が得た60万票ほどがネット保守の勢力を示すものだとした。そして、そこから逆算して、日本全体では約250万人のネット保守がいるのではないかと試算した。
これは、国会議員にして、2、3議席分の勢力だという。ただ、古谷さんは、日本の右傾化との指摘には懐疑的で、まだ共産支持者の半分に過ぎず、マイノリティーに留まっていると指摘している。
ネット上では、「ネトウヨ層の政治的影響力が強まった」「新保守層これから増えることは間違いない」と肯定的な向きは多い。その一方で、「この人たちが社会の主力になる20年後が怖い」「やっぱ極右の伸張が一番の問題だな」などと懸念する声も相次いでいる。
確かに、田母神氏の遊説を聞くと、侵略戦争や南京大虐殺、慰安婦の強制連行を全部ウソだと主張、新宿・歌舞伎町の一部や新大久保などで不法滞在の外国人などを徹底的に取り締まるといった過激な主張も見られる。しかし、同時に、都民税の減税や公共事業の拡大を通じた景気回復を訴えたり、子育て支援や高齢者対策を打ち出したりもしている。
むしろ遊説では後者を先に持ち出し、「私は本当にいい人なんです」と繰り返すなどしており、こうしたソフト路線が支持を伸ばしたとの指摘もあるようだ。