2014年4月からの消費税率の8%への引き上げに向け、交通機関の運賃などへの転嫁が固まった。
スイカやパスモといった電子マネーを利用するか否かで差がつくものもあり、議論を呼びそうだ。
山手線では初乗りに7円の差
鉄道の運賃については、国土交通省が、電子マネーに限った「1円刻み」を容認したため、現金(券売機)の「10円単位」と二重運賃が出現することになった。券売機は四捨五入でなく切り上げになるため、基本的に電子マネーが割安になる。
これを主導したのがJR東日本で、山手線の初乗りが、現行の130円から、電子マネーが133円、券売機は140円になる。首都圏の地下鉄や主要私鉄もJRに追随。例えば東京メトロの初乗りは、現行の160円から、電子マネーが165円、券売機が170円になる。
一方、JR西日本など他のJR5社や関西その他の地方の私鉄は、電子マネーの普及率がまだ低いなどとして、二重運賃を採用せず、10円単位での値上げになる。
バスでも二重運賃が出現する。東京都営バス、小田急バス、京王バス、東急バスなど首都圏主要バスは、電子マネーが1円単位、現金が10円単位の値上げになる。
均一区間制の路線では、都営バスや川崎市内の私鉄バスの現行200円区間が、電子マネー206円、現金210円に、都内や横浜市内の私鉄バスの現行210円は、電子マネー216円、現金220円になる。距離に応じた運賃では、四捨五入で計算すると現金が有利になるケースも考えられるが、電子マネー利用は現金運賃と同額以下になるよう端数処理する(京王バスなど)という。
ただ、例外も、わずかながらある。交通不便な地域の解消などのため、町田市が運行経費の不足分を補う町田市民バス「まちっこ」(運賃100~300円)は4月以降も現行を維持し、増税分も含めた経費不足分は市が補てんする予定という。
バスでも、首都圏以外は鉄道と同様、基本的に現金、電子マネーの二重運賃は採用せず、10円単位の値上げになる。
高速道路は10円刻みに
なかなか結論が出なかったのがタクシーだ。国交省は1月下旬に、ようやくタクシー運賃の消費税転嫁に関する基本方針を提示し、改定幅を10円単位として四捨五入で計算することとした。電子マネーの利用がまだ少ないというのが理由だ。初乗り後の加算は、額を変えずに、基準になる走行距離を短くして実質的に値上げする形で増税分を転嫁する。
この方針に基づき、東京都心の初乗り運賃の上限は現行の710円から20円アップの730円になる。各社は3月中に新料金を申請することになるが、一部の業者は初乗り運賃を据え置いたり、上げ幅を圧縮する可能性もあり、価格差が出そうだ。
高速道路の通行料は、現在の50円刻みから10円刻みになる。これまで、料金所での小銭の受け渡しが煩雑として50円刻みだったが、自動料金収受システム(ETC)が普及しており、10円刻みにしても大きな混乱はないと判断した。ETC、現金の別なく、1円単位を四捨五入する。なお、本四連絡高速は現在、ETC搭載車に限って1円刻みの料金だが、今回の改定に合わせて10円刻みに変更する方向という。
自動車の関連のコインパーキングは対応に頭を痛めていたが、最大手の「パーク24」は、100円刻みの料金を10円刻みなど細かく値上げするのは難しいと判断し、昼間は値上げ、夜間は据え置くなど、全体として3%分を転嫁する考えという。