NECがインターネット接続サービス(プロバイダー)から手を引く。2014年1月30日、同事業を手がける子会社「NECビッグローブ」を、みずほ証券系の投資ファンド「日本産業パートナーズ」に売却すると発表したのだ。
スマートフォンの普及で、ビッグローブのようなパソコン(PC)メーカー系のプロバイダーは成長戦略を描きにくくなっている。投資ファンドの傘下に入ったことで、再編機運が否応なく高まりそうだ。
約300万人の会員を抱え、黒字を確保
NECは現在、ビッグローブ株の78%を保有している。3月末をめどに、これを同ファンドに譲渡する。売却額は非公表だが、700億円前後とみられる。
ビッグローブは1996年にNECの一部門としてサービスを開始。2006年に「NECビッグローブ」として分離独立した。約300万人の会員を抱え、黒字を確保している。
サービス開始当時は、米マイクロソフトが開発した基本ソフト(OS)「ウインドウズ95」が大ヒット。NECだけでなく、富士通系の「ニフティ」、ソニー系の「ソネット」など、PCを製造・販売する電機メーカーが相次いでプロバイダー事業に参入した。接続時間に応じて利用料を徴収していたため利益も大きく、パソコンとの「セット販売」で急成長した。
ところが21世紀に入り、通信速度が速いADSLや光回線などブロードバンド環境が整備されてくると、NTT系の「OCN」やソフトバンク系の「ヤフー!BB」などとの競争が激化。ここ数年はスマホ市場が急拡大し、PCメーカー系は存在感を発揮しにくくなった。