2014年4月の消費増税の駆け込み需要を背景に、1月の新車販売が前年比29.4%増と大きく伸びる一方で、増税後の影響が懸念されている。
自動車メーカーやディーラーは、ある程度の反動を覚悟しているようだが、消費者の間では「増税後の大幅値引きを狙ったほうが、増税前より安く買える」との情報もあって、購入をためらっている人もいるようだ。
「97年のようなことはないでしょう」
2014年の新車販売台数について、自動車メーカーやディーラーは消費増税などが足かせとなり、前年割れになる可能性が高いとみている。
消費税率が3%から5%に引き上げられた1997年の販売台数は、4月を境にくっきりと分かれた。97年1月~3月までは前年比11~14%も増えていたのに、4月には登録車が前年比12.7%減、軽自動車は21.4%も減った。5月は9.40%減と14.9%減、6月も5.0%減と7.8%減とマイナスが続き、登録車においては当時の金融不況と相まって、99年10月までの2年7か月も前年割れが続いたのだから、消費増税に不安を覚えるのも無理はない。
ただ、「ある程度の反動はあるでしょうが、97年のようなことはないでしょう」と、第一生命経済研究所のエコノミスト、大塚崇弘氏は話す。「97~99年の金融不況のときも、じつは販売台数が一時持ち直しかけた時期がありました。当時は消費増税の影響というよりも、賃下げによる消費マインドの低下が要因といったほうがいいでしょう」と説明する。
新車ディーラーなどによる値引き幅も20~30%と大きかったが、「消費マインドを刺激するための値引き」とみている。
今回の消費増税はアベノミクスによる景気回復の途上にある。賃上げムードも高まっていることから、「それほど大きな反動減はない」という。