朝日新聞社で右翼団体幹部が起こした拳銃自殺事件を称賛したことが問題化したNHK経営委員で埼玉大名誉教授の長谷川三千子氏(67)が、1970年の「三島事件」についても称賛していたことがわかった。
長谷川氏は、三島由紀夫が「日本の国柄というものは、本来、国民が天皇のために命を捧げる、そういう国体」であることを自らの行動(割腹自殺)で示したと主張。憲法の3原則のひとつである国民主権を否定している上に事件を容認しているともとれ、波紋を広げそうだ。
昭和天皇の「聖断」で「戦後の日本人の命がつながっている」
三島事件は1970年11月25日に起き、政治団体「楯の会」メンバー5人が自衛隊の市ヶ谷駐屯地の総監室に立てこもり、メンバーのうち三島と森田必勝が割腹自殺したというもの。三島は自殺直前、自衛隊員に対して演説し、憲法改正に向けたクーデターを呼びかけていた。
長谷川氏の発言は、2013年11月25日に国学院大学で開かれた追悼集会「三島由紀夫・森田必勝両烈士43年祭」の挨拶で出た。
長谷川氏は、鈴木貫太郎内閣が1945年のポツダム宣言の受諾にあたって昭和天皇の「聖断」を仰いだ末に終戦が決まった経緯について、
「ポツダム宣言の受諾という出来事は、当時の国際社会を客観的に振り返ってみると、これは99%天皇陛下が連合国の手にかかって処刑されるという、そういうご決断を天皇陛下はなさった。これが1%の可能性で天皇陛下の処刑ということが起こらなかったということ自体も非常に奇跡的なことだが、この天皇陛下の我が身を捨てるというご決断で、我々戦後の日本人の命というものがつながっている」
と解説。その上で、ポツダム宣言受諾と三島事件との関連について持論を展開。その中で、「日本の国柄というものは、本来、国民が天皇のために命を捧げる、そういう国体」という発言が出た。