マイクロソフトのOSソフトWindows XPのサポート終了まであとわずかになり、警視庁などがセキュリティ上の注意を呼び掛けているが、強引にXPを使い続けたいという需要もあるようだ。
「安全・快適」にXPを使い続けるための指南書も発売され、ネット上ではこの本をめぐって賛否両論の議論になっている。
「サポート切れも怖くない!!鉄壁の守りを構築する」
「XP」はサポート終了の2014年4月9日を迎えると、いよいよ脆弱性やバグについてのセキュリティプログラムの提供が受けられなくなる。警視庁がサポート終了後の危険性を警告した資料によれば、遠隔操作や情報流出、犯罪の踏み台にされるリスクがあり、後継OSへのアップグレードを推奨している。使用継続がやむを得ない場合は、インターネット接続やUSBメモリーなどの使用を避けるべきだと呼びかけている。
そうした中、ツイッターで、あるユーザーが「Windows XPを安全・快適に使い続けるための本」(インターナショナル・ラグジュアリー・メディア)という書籍をツィッターで紹介。「なに、この本...」「サポート終了後も今まで通りXP使い続けるとか、正気じゃない」など、その内容が話題になっている。
同書を開いてみると、赤と黒の色調のページでXPのサポート終了の危険性を伝えるとともに、「XPは救える!」「しっかり対策すればWindows XPを使い続けられる!」「XPを使い続けるための究極テクニック」「サポート切れも怖くない!!鉄壁の守りを構築する」などの力強い見出しが並んでいた。
対策の柱の1つとして挙げられているのはセキュリティソフトだ。公式サポート終了後はセキュリティソフトが「頼みの綱」だとして、XPのサポートを継続するというシマンテック社の「ノートンセキュリティ」の使い方を紹介。また仮想化ソフト「return virtual systme」を使えば、「ウイルスに感染してしまっても、再起動により元通り」で、ネット閲覧などの用途に限定するなら安全にXPを使えるという。
全体的に初心者に配慮した本の作りで、ネットからフリーソフトをダウンロードする方法や、解凍ソフトのインストールの仕方が説明してある。Internet Explorer 6や7から最新のIE8に乗り換える方法に加えて、Google Chromeのインストールまで教える親切ぶりだ。Outlook ExpressからGmailへの移行方法も写真入りで6ページにわたって解説があった。
すべての作業は自己責任で
話題になっていることもあってか、アマゾンの「オペレーティングシステム 」カテゴリーの5位にランクインしている(6日16時半現在)。しかし、サポート終了後もXPを使い続けるということの是非がネットで議論になっている。
賛成派からは「この手の雑誌って情弱向けなんだから全然アリ」「そら使い続けたい人もいるやろ」「別に叩く必要ないじゃん。 欲しい人が少ないなら売れないだけだ」と問題ないという意見が出た一方で、
「OSの脆弱性突かれたらウイルス対策ソフトは役に立たないんだが」「情報が入っていなくても、踏み台にされるかもしれないから、 ネットには繋ぐなよ」「わぁ。これ読んで『XPはまだいける!』と勘違いしちゃってXP続投する市町村のお役所が目に浮かぶ」
などと、セキュリティ上問題があるのではという批判もある。
上述したように「Windows XPを安全・快適に使い続けるための本」にウイルスソフトによる対策の説明があったが、Windows移行サービスを提供するNECシステムテクノロジーのサイトによると、
「ウイルスソフトは、あくまでもウイルスの亜種を突くものであって、OSのセキュリティホールを防ぐものではない。また後追いでウイルス定義ファイルをダウンロードする必要があり、タイムリーな防衛には限界がある。根本的な解決にはなりえない」
とされている。
ちなみに「安全・快適に使い続けるための本」の8ページ目には、「ご購入前に必ずお読みください」という項目で、情報提供を目的としているため「必ず自己責任で、すべての作業を行ってください」という記述があった。
同書の話題に反応したのかマイクロソフトの広報ツイッターは、
「パソコンを『安全・快適に使い続け』たいとお考えのお客様には、XP発売当時と比べ処理速度やセキュリティ機能が飛躍的に向上している最新パソコンへの買い替えをお勧めしています」
と宣伝している。