静岡、鹿児島でシラスウナギの漁獲量倍増 かば焼き「お手頃価格」になる可能性

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   近年不漁が続いていたウナギの養殖用の稚魚、シラスウナギの今シーズンの漁獲量が増えている。静岡県や鹿児島県で、2013年を大きく上回っているのだ。

   輸入先の中国や台湾でも、漁獲量は好調に推移しているという。シラスウナギが豊漁となれば、庶民にとって高嶺の花となっていたかば焼きの価格が下がるかもしれない。

鹿児島では既に昨シーズン全体を上回る漁獲量

今年の夏はぜひ食べたい
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   静岡県水産資源課に聞いたところ、今シーズンのシラスウナギ漁は2013年12月1日に解禁し、2014年4月30日まで続く。1月20日までの漁獲量は61.1キロで、前年同期の30.4キロと比べて倍増となった。過去4年連続で不漁が続いていたことを考えると、久々の朗報だ。増加の理由については、「黒潮の流れの影響などと言われますが、詳しくはわかりません」。

   シーズンはまだ2か月以上続き、前半の好調をそのまま維持できるかどうかは何とも言えない。ただ「例年2~3月にかけて漁獲量が増える傾向にある」ため、見通しは明るそうだ。

   鹿児島県でも、ここ数年の不漁から抜け出した。県の水産振興課によると、解禁日の2013年12月21日から2014年1月末までの漁獲量は332キロ。昨シーズンは全体で149キロしかとれなかったことから見て、急回復したのは間違いない。宮崎県や高知県でも、似たような状況だと耳にしたそうだ。

   だが、「確かに過去4年間と比べると増えていますし、(業者の)期待は高まっています。しかし長期的に見ると『右肩下がり』で、楽観はできません」と担当者は話した。近年で最も豊漁だったのが2008年シーズンの1.6トンだが、残り2か月弱でどこまで迫れるだろうか。

   シラスウナギ漁はここ数年、日本だけでなく東アジア全体で低迷していた。水産庁によると、養殖業者がシラスウナギを育てるために池に放つ「池入れ量」について、2013年シーズンは12.6トンと前年比21%減だった。特に国内の採捕量が激減し、前年の58%にとどまった。1キロ当たりの平均価格は248万円にまで高騰。2003年の1キロ当たり平均価格は16万円だったことから、10年で15倍強値上がりしたことになる。

   このため水産庁は2013年6月29日に「ウナギ緊急対策」を発表。ウナギの安定供給を目指して、苦境に立たされる養鰻業者への金融対策、ウナギが生息する河川環境の改善、国内の資源管理やシラスウナギの大量生産技術確立のための研究促進を挙げた。

国産に中国、台湾産が増えて昨夏よりは安値に

   数年にわたって不振が続いていたシラスウナギ漁に、一筋の光明が見えてきた。2月4日付の日本経済新聞電子版によると、シラスウナギの取引価格が下落しており、1キロ当たり80万円程度と昨シーズンと比べて約4分の1の水準という。このまま推移すれば、少々気が早いが今夏は比較的安い値段でウナギ料理が楽しめるだろうか。

   日本養鰻漁業協同組合連合会(日鰻連)に取材すると、「夏までに一気に値段が下がるかといえば、難しいでしょう」と話す。シラスウナギを養殖池で育て、出荷するまでには最短で半年。早期に出荷する業者もいるが、「静岡県では1~1年半かけてじっくり育てる」。場所によって出荷時期が異なれば、全国的に豊漁だからといってすべてが夏までに市場に出るわけではなさそうだ。

   しかし今シーズンの漁獲量増加は国内だけでなく、中国や台湾でも見られるという。近年は輸入ウナギの量も伸び悩んでいたが、今夏は豊漁とともに昨年よりは増える公算が高い。品薄感がなくなれば、少なくともこの夏は昨年ほど高値になることはないだろう。国産ウナギもこのまま漁獲量が好調なら、夏には間に合わなくても秋から2015年にかけては出荷が増える。ウナギ料理も、全く手の届かない高嶺の花から、少し背伸びすれば味わえる価格に下がることは期待できるかもしれない。

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