<まちの交流サロン「まざり~な」>の第1回ツアーがおととい(1月28日)、NPO法人シャプラニールの主催で行われた。津波で家を流された平・豊間の人や、原発事故でいわきに避難している双葉郡の人など、10人が参加した。
平・常磐地区には「まざり~な」が9カ所ある。そのうち、平堂ノ前の大平テーラー(仕立て業)、同・久保町の山田屋醸造(味噌・醤油醸造・販売店)、同・中神谷のわが家(地域文庫・米販売店)(=写真)の3カ所をマイクロバスで巡った。
いわきでは、交流スペース「ぶらっと」(シャプラニール運営)や「小名浜地区交流サロン」(ザ・ピープル運営)、「なこそ交流スペース」(なこそ復興プロジェクト運営)、「ぱお広場」(いわき自立センター運営)などが、被災・避難者と市民を結ぶ拠点になっている。
それら団体に個人が加わったNPO法人「みんぷく」(みんなが復興の主役!=正式には3・11を支援するいわき連絡協議会)が、さらにきめ細かく被災・避難者に対応しようと「まざり~な」活動を始めた。
応急仮設住宅に入居している避難者と違って、借り上げ住宅(アパート・戸建て住宅)に住む人は、近くに知り合いがおらず、情報も入りにくい。そういった人たちが近所の店に立ち寄ったついでに、おしゃべりや情報交換、あるいはちょっとした相談ができれば――というのが狙いだ。
ツアーの予定時間帯に双葉郡の女性が偶然、立ち寄った。店を訪れるのは初めてだった。その人と入れ違いにツアーの一行が現れた。女性の話では、「みんぷく」発行の合同情報紙「一歩一報(いっぽいっぽ)」で、「まざり~な」の存在を知った。わが家の前の通りを車で行き来しているのだが、今までは立ち寄る時間がなかったのだという。
震災当日の夜、わが家に知人がやって来た。四倉の津波被災者を車で近くの公民館へ避難させた、ということだった。毛布を貸した。それがわが家の「まざり~な」の始まりだった。翌日になると、双葉郡の原発避難者が現れた。
やがて、何度も訪ねてくる人が増えた。常連さんのなかには水戸へ、いわき市内の別の場所へと、すまいを確保して引っ越した人がいる。近々、東京へ移る予定の人もいる。一方で、「まざり~な」の存在を知って新たに訪ねてくる人がいる。
「まざり~な」は、自然と文明の災禍に翻弄された人たちが瞬間、ホッとして過ごせる人生の交差点であればいい。最初のツアーを経験してそんな感慨が生まれた。
(タカじい)
タカじい
「出身は阿武隈高地、入身はいわき市」と思い定めているジャーナリスト。 ケツメイシの「ドライブ」と焼酎の「田苑」を愛し、江戸時代後期の俳諧研究と地ネギ(三春ネギ)のルーツ調べが趣味の団塊男です。週末には夏井川渓谷で家庭菜園と山菜・キノコ採りを楽しんでいます。
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