新たな減税をできるような状況ではない?
税制についても不確定要素が大きい。安倍首相は2015年の消費税率10%への引き上げを今年年末までに判断するとしている一方、法人税減税に意欲を見せている。消費税率引き上げ見送り(先送り)や法人税減税は、いずれも税収の見通しを引き下げ、財政赤字を一段と膨らませることになりかねない。
安倍首相は、異次元緩和で好景気を持続させつつ、構造改革も進めて成長率を高め、それによって税収を増やして財政を再建しようという「上げ潮派」とみられている。だから「消費税を場合によっては上げない、また法人税を引き下げるという選択肢は離さないだろう」(財務省筋)。しかし、今回の試算は、財政の実態が、新たな減税をできるような状況でないことを示している。「財政の持続可能性を維持するためには、税収をあてにするだけではなく、歳出への思い切った切り込みが、やはり欠かせない」(エコノミスト)のは間違いないだろう。