赤字11.9兆円は「極めて楽観的な数字」
さらに、財務省が国会に提出する資料もある。2014年度予算案が将来の財政状況にどう影響するかを示した「後年度歳出・歳入への影響試算」で、消費税率10%実行を前提に、成長率と歳出カットの組み合わせで4通りの試算をしている。それによると、2015年度のPB赤字半減は達成できそうだが、2020年度は、1.5%成長で社会保障費など歳出カットもしない最悪の場合は14.1兆円の赤字、最も楽観的な3%成長で歳出カットした場合でも6.6兆円の赤字が残り、政府目標達成の見通しは立たない。
これらへの世間の評価は概ね辛口だ。2015年度PB赤字半減は法人税など税収の上ぶれを見込んでいるのが主因。試算によれば、2015年度の一般会計税収は55.3兆円と、過去最高だったバブルピークの1990年度の約60兆円に迫る。その税収増の裏付けになる経済成長率の見通しは2014年度名目3.3%で、民間調査機関の平均2.4%程度という予想より高い。2015年度も内閣府が名目3.4%を見込むのに対し民間平均は2%強にとどまり、政府の強気が目立つ。その延長で考えれば、内閣府の2020年PB赤字11.9兆円は「極めて楽観的な数字」(エコノミスト)。