米英仏のほか韓国、アイルランドなども活用
民主党政権時代には、「銀行が不当に利益を得ているお金を吐き出させて成長分野やインフラ投資にあてる」というニュアンスも見え隠れして銀行界の反発を招いていた。しかしそこは金融界とも長年付き合いのある自民党。うまく銀行界を納得させる落としどころを見つけというわけだ。
休眠預金自体は毎年850億円程度発生しているとされる。このうち350億円程度は預金者が気づくなどして払い戻されているため、500億円程度が活用できる財源となる計算。ただ、休眠預金を活用する制度が始まると、預金者への注意喚起が進むため、実際に活用できるお金が減ることも予想されている。
現在描かれている制度のイメージでは、発生した休眠預金は銀行などに手数料を払われた上で預金保険機構にいったん移される。銀行は引き続き払い戻し請求には応じる。その上で預金保険機構から別の資金配分団体を通じて、必要に応じて融資や補助金の形で教育や福祉関連のNPO法人などに資金を流す――という。ただ、誰にどういう名目で融資し、補助金を出すかなど、今後の検討課題は多い。
とはいえ、米英仏のほか韓国、アイルランドなど海外では休眠預金の活用が進んでおり、フランスのように国家予算に組み込む国もある。日本でも有効活用しようとの流れは止まらないと見られる。