SEGWAY(セグウェイ)の登場で注目される「パーソナルモビリティ」に、新たに一輪の電動バイク「RYNO」が登場、近く発売される。
米オレゴン州ポートランドに本拠を置くRyno Motors社が2014年4月から、事前予約分の「RYNO」の出荷を開始する予定という。インターネットでは早くも「近未来的」「SF映画の世界だ!」と話題だが、いったいどんな乗り物なのだろう。
CEOの娘が描いた絵が「モデル」
一輪の電動バイク「RYNO」は、25インチのタイヤが時速16kmで走る。加速は、通常のオートバイのような手動のハンドル・スロットルは使わず、「セグウェイ」に乗るときと同じように、体重を前に傾ける。止まるときは、ハンドブレーキも用意されているが、体重を後ろに傾ける。
だからといって、全身に力を入れるようなことはない。Ryno Motors社のホームページによると、先進の運動センサー技術を採用し、乗っている人の微妙なしぐさでも反応するという。人が乗っていないと、電源を入れても、傾けても走行しない。車体の総重量は72.5kgで、重心をかなり低く設定しているため、安定感がある乗り物という。セグウェイと違って、両手を放しても走れるそうだ。
1回の充電で距離にして約16キロメートル、1時間走れる。12ボルト(V)のDCチャージャーを使ってフル充電するのに約6時間かかる。電池は取り外し可能。
20%までの勾配に対応できるので、坂が多いサンフランシスコの街でもほぼ問題なく走るパワーも備えている。
Rynoのフレームの前部は、先端にゴムがついたバーになっていて、Rynoを前に傾けるだけで、巨大なキックスタンドのように、そのバーが支えになり駐車できる。タイヤの両側には小さいフットレストがあり、押し下げれば使える。「チョイ乗り」には便利そうだ。
1月27日付のWired.jpによると、そもそもはRyno Motors社のクリス・ホフマンCEOの13歳の娘が、ビデオゲームで見た一輪のバイクをスケッチして、「同じものがつくれないか」と頼んできたのが開発のきっかけだったというから、まさに未来の夢を具現化した乗り物ともいえるわけだ。
価格は5295ドル(約52万円)。Ryno Motors社は、「ONE WHEEL COUNTLESS POSSIBILITIES」(ひとつの車輪 無数の可能性)などとPRする。
日本の公道は走れない
次世代の乗り物「パーソナルモビリティ」としての電動一輪車は、米FOCUS Designs社も開発に取り組んでおり、「SBU V3」は1回の充電で約12キロメートル走行できるという。こちらは「RYNO」よりもシンプルで、通常の一輪車にモーターを付けたようなスタイル。1793ドル(約17万円)で発売されている。
一方、「人間の移動形態を変える革命的な製品」と絶賛された「SEGWAY(セグウェイ)」は、登場からもう10年以上が過ぎるが、日本ではまだ公道を走れないでいる。
その理由は、日本でセグウェイは「自動二輪車としての扱いを受けている」からだ。すでに欧米の一部ではEPAMD(Electrical Personal Assistive Mobility Device)と呼ばれる法律によってセグウェイを電動車椅子などと同じ分類とし、歩道での走行を認めている。
日本では「構造上、自動二輪車に求められる保安基準を満たしていない」(国土交通省)とみなされ、走行できるのは公道以外に限定されている。しかも、乗って運転するには普通自動車か普通自動二輪の免許が必要だ。
この点が改正されない限り、「RYNO」や「SBU V3」が日本に上陸したとしても、公道での走行は認められない。