東京五輪で都心の鉄道新線計画が再始動 羽田アクセス改善、国、都、JR、私鉄が複数案

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   2020年の東京五輪開催に向け、休眠状態だった都心の鉄道新線の計画が再始動する気配だ。

   様々な構想が交錯するが、ポイントは羽田空港と都心のアクセス改善。特に、JR東日本による新線構想では、JR東子会社の東京モノレールが大打撃を受けるとみられるなど、議論を呼びそうだ。

「三つ巴」の激しい争奪戦

羽田空港が近くなる?
羽田空港が近くなる?

   首都圏の交通網の整備の一環として、運輸政策審議会や観光立国推進基本計画などで、新線整備の必要性が指摘されてきた。しかし、財源確保や採算性などの問題で議論が本格化するには至っていない。

   ただ、「首都・東京の最大の弱点」(国土交通省幹部)である空港と都心のアクセスの悪さが、五輪開催決定や訪日外国人の増加(2013年に1000万人突破)で、改めてクローズアップされ、国、東京都、JR、私鉄各社などが複数の路線について水面下の協議を始めている。

   JR東が計画する都心と空港を結ぶ新路線は、休止中の貨物線を活用する構想。具体的には、東京湾岸を通る東海道貨物線の休止中区間を旅客線に切り替え、山手線田町駅付近を起点に湾岸部を通って、新たにトンネルを建設して羽田へ乗り入れるルートが想定されている。JR東は、山手線の品川-田町間に新駅の建設も検討しており、この構想ともリンクすることになる。

   JR東はこの新路線を、2014年度末に開業する東北縦貫線(上野東京ライン)と接続して、宇都宮、高崎、水戸など北関東の主要都市から羽田に直接乗り入れを可能にする方針で、「日本経済、東京という都市にとって、重要なルートになる」(冨田哲郎社長、産経新聞インタビュー)と位置付ける。

   実現すれば、最も影響を受けると思われるのが、1964年の前回五輪に合わせて開業した東京モノレールだ。1998年に京浜急行が参入してから、運賃や速さを競ってきたが、近年の1日平均乗降客数は、モノレール約6万5000人、京急約8万2000人と京急が優勢。モノレールの親会社はJR東で、そのJRが新路線の検討に乗り出したことで、「三つ巴」の激しい争奪戦が展開されることになる。

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