東京・青山の三菱地所「欠陥億ション」 ネットの書き込みで発覚、異例の販売中止に

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   三菱地所レジデンスが販売していた東京・港区青山の一等地に建設中の超高級マンション「ザ・パークハウス グラン南青山高樹町」が、工事の不具合が発覚して販売中止となった。

   その不具合というのが、「スリーブ」といわれる、水道管などを設置するための「孔」が開いていなかったためというから、なんともお粗末だ。三菱地所とともに施工を請け負った鹿島建設に配管設備を担当した関電工と、「一流」の看板が泣いている。

解約に「迷惑料」含め「3倍返し」

「ザ・パークハウス グラン南青山高樹町」はすでにHPからも削除された(画像は、「三菱地所レジデンス」のホームページ)
「ザ・パークハウス グラン南青山高樹町」はすでにHPからも削除された(画像は、「三菱地所レジデンス」のホームページ)

   アベノミクス効果もあって、東京23区内ではマンションが売れに売れている。そうした中で、南青山に建設中の超高級マンション「ザ・パークハウス グラン南青山高樹町」に、欠陥があったことが発覚した。売り主は三菱地所レジデンス、施工主は鹿島建設、関電工が配管設備を請け負っていた。

   物件は渋谷や六本木、広尾に近い、都心の高級住宅地。超一等地ということもあり、最高価格3億5000万円、最多価格帯が1億4000万円台という、いわゆる「億ション」。

   ところが、欠陥が見つかったことで契約者への引き渡しは中止。引き渡し予定日が2014年3月20日に迫っていたことから、「合意解約のお願い」という異例の事態となった。

   販売された86戸のうち、すでに83戸が契約済みで、購入した人もあわてている。中には現在の住まいの売却が決まっていたり、仮住まいだったりと、別途急いで住まいを探さなければならないかもしれない。

   三菱地所は引き渡しの中止にあたり、1月25日、26日に説明会を開催。お詫びして、欠陥が見つかった経緯などを説明した。手付金の返金などについても、「こちらから契約解除をいうような状況ではなく、手付金をお戻ししたうえで迷惑料として手付金の2倍をお支払する条件で、合意解約をお願いしました」(三菱地所)と話す。

   「億ション」だけに、手付金は1000万円を超える。これに迷惑料と実損分(仮住まいの家賃など)の一部が加算されるので、契約者には3000万円を下らない金額が支払われる。

   現在、原因の究明が続いているが、「原因の究明と是正工事に、少なくとも1年はかかりそう」。販売再開の見通しは立たず、建物を取り壊すような最悪の事態も「ゼロではない」と話す。

設計図を「施工図」に落とし込む過程で「孔」がなくなった

   今回の物件の欠陥は、「スリーブ」といわれる、配管設備のための孔が開いていなかったことにある。具体的には、全部で6000あるはずのスリーブのうち、1割にあたる600か所の孔がなかったり、位置が間違っていたりした。そのうえ、配管を通そうと後から開けた孔が、鉄筋を切ってしまった個所が見つかったという。

   スリーブは建設工程の比較的初期段階の工事とされ、三菱地所は「通常では考えられないこと」と驚くが、「現時点でわかっていることは、施工の段階で設計図を『施工図』に落とし込み、すり合わせる過程があります。そこでの作業で、(孔が)なくなったようです」と説明。この作業は施工主である鹿島建設が行っているため、「これから協議していきますが、相応の責任は負ってもらいます」と話す。

   ただ、問題はそのことがわかったのが、インターネット上にあったカキコミだったことだ。カキコミを見た契約者が問い質したことで事実確認が始まった。

   三菱地所もその点を問題視しており、「誰が書き込んだものなのかはわかりませんが、他者からの指摘でわかったことは事実。今後、こうした建設中のチェック機能を強化する方策を検討していきます」と話している。

   一方、三菱地所は今回の事態を受けて、施工中や販売中の物件のすべてで問題がないことを確認した。ブランドイメージの低下も懸念されるが、「他の物件への影響はない」とみている。

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