外国人労働者が来てくれるとは限らない?
とはいえ、外国人労働者の受け入れに反対の声も根強い。たとえば、外国人労働者が多い地方都市では、小・中学校で日本語の話せない外国人児童が増えたり、学校に通わない不就学児童がいたりする。地域社会と、生活習慣をめぐる摩擦などもある。
なかでも、外国人労働者を雇用の需給調整に使うと、日本人労働者が働き場を失ったり、景気が悪化した場合には解雇された労働者がそのまま不法に滞在することで、行政コストが上昇したり、治安の悪化につながったりする懸念があるからだ。
ただ、「仮に日本が外国人労働者を受け入れると決めたところで、実際に外国人労働者が来てくれるかどうか、保証はない」と、日本経済研究センター研究顧問の齋藤潤氏は指摘する。
齋藤氏はネットのコラム「経済バーズアイ」(13年11月22日付)で、「韓国では2003年の外国人労働者雇用法の施行を契機に、外国人との共生や国際結婚で生まれた子供への支援などを目的に法制が整えられ、優秀な人材の受け入れに積極的になっている」という。
日本の場合、主に中国やベトナム、フィリピンなどアジア諸国からの労働者が多いが、アジアの優秀な労働者は引き合いも多く、「国際競争」にさらされており、「外国人労働者に門戸を開けば、彼らは直ちに来てくれるはずだという発想は、現実とは大きく異なっている可能性がある」と指摘する。