理化学研究所などが第3の万能細胞「STAP細胞」の作製成功を発表してから2日、研究ユニットリーダーの小保方晴子さん(30)への注目は高まるばかりだ。
メディアでは小保方さんの身に着けていた割烹着や研究室の装飾に続き、中学生の時に書いた読書感想文まで取り上げるようになった。その影響からかAmazon.co.jpの本ランキングで対象本はさっそく1位に踊り出た。
「永遠の命を持つことは、死よりも恐ろしい事」
小保方さんは中学2年生の時に、青少年読書感想文の千葉県コンクールで最優秀賞の「教育長賞」を受賞していた。コンクールを主催する毎日新聞の地方版には、97年12月21日に感想文の全文も掲載された。小保方さんが選んだ本はドイツのベストセラー小説として知られるアクセル・ハッケ作の「ちいさなちいさな王様」。ある日、人差し指サイズの太った王様が主人公の「僕」の家に現れたという設定で、王様は、自分の世界では年を重ねるにつれ体が少しずつ小さくなり、次第に物事も忘れていってしまうと話し、互いの暮らす世界について語り合うといった内容だ。ミヒャエル・ゾーヴァの愛らしい挿絵を織り交ぜたやさしい文体でありながらも、深みのある哲学的な内容になっている。
当時の小保方さんは、現実を知るほど自身の夢や心の世界が小さくなっていくことが受け入れられず「大人になりたくない」と考えていたが、小さな王様によって「夢があるから現実が見られるのだという事を教えられたような気がした」。さらに「永遠の命を持つことは、死よりも恐ろしい事だと思う。生きていることのすばらしさを忘れてしまうと思うからだ」といった記述もあり、感想文を伝えた報道では「当時から『人間の生命について高い関心を抱いていた』」との解説を加えていた。