PM2.5より厄介な超小型汚染物質 気管支までも通り抜け呼吸器疾患招く恐れ

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   春節(旧正月)を迎える中国だが、当局が爆竹や花火の使用を控えるよう呼びかけている。微小粒子状物質「PM2.5」の濃度上昇が深刻化するなか、全土で爆竹が使われれば大量の汚染物質が発生し、いっそう空気が汚れる懸念があるためだ。

   しかも最近になって、PM2.5よりも小さくて厄介な「PM0.5」の存在がクローズアップされてきた。人体にどのような悪影響を与えるのかが心配だ。

肺胞にまで到達、血液に入り込めば心臓疾患引き起こす恐れ

「PM0.5対策」も必要になりそう(写真は上海、2013年2月)
「PM0.5対策」も必要になりそう(写真は上海、2013年2月)

   PM0.5は、上海・復旦大学の研究チームが分析を進めており、PM2.5の中に数多く含まれているとされる。PM2.5は髪の毛の太さの約30分の1と極めて小型だが、PM0.5のサイズはさらにその5分の1となる。

   PM2.5の場合、吸い込むと肺の奥深くまで入りやすく、ぜんそくや気管支炎といった呼吸器疾患を悪化させる恐れがある。加えて世界保健機関(WHO)は2013年10月17日、発がんリスクについて最も高いレベルに指定し「肺がんを引き起こす十分な証拠がある」と発表した。復旦大研究チームに取材した産経新聞は2014年1月5日付の記事で、PM0.5は気管支をも通り抜けて肺胞にまで侵入すると説明している。肺胞には、酸素を血液中に取り入れて二酸化炭素を出す「ガス交換」の役割がある。PM0.5が肺胞から血液に入り込めば、心臓の疾病を引き起こす恐れまで生じるそうだ。

   現在も研究が進むが、PM0.5が具体的にどのような健康被害をもたらすかが解明されるのはこれからだ。そのPM0.5を含んでいるとされるPM2.5の拡大が深刻化している中国では、有効な対策が打たれていない。特に真冬から春先は暖房需要が高まって石炭使用が増える時期だけに、いっそう心配だ。

   北京にある民間団体「aqicn.info」がウェブサイト上で毎日更新している「大気汚染指数」を見ると、北京は1月30日の時点でPM2.5の汚染度が比較的低い。しかし29日午後は6段階中上から5番目の「中度の汚染」となっていた。上海は30日午後「中度の汚染」を示し、内陸にある四川省成都は最もレベルが高い「重汚染」と報告されている。

   影響は日本にも及ぶ。九州大学応用力学研究所の竹村俊彦准教授は、ウェブ上で大気汚染粒子の指標を公開している。1月30日は近畿地方以西で「非常に多い」となっており、これは「注意喚起レベル」だという。特に九州北部は2月3日まで5日連続で「非常に多い」と、全国一悪影響をこうむる地域だ。

専用マスク装着、サンルーム設置の家庭も

   さらに竹村准教授は、大気浮遊粒子状物質がどう移動するかを地図上で示した予測動画もウェブに掲載している。汚染粒子が「多い」を意味する赤く塗られた部分は、1月30日3時には中国大陸を東から西へ広く帯状に覆っており、時間とともに東に移動していく。同日18時には赤い部分が九州にかかり始め、31日0時になると近畿地方にまで「帯」の先端が届く。徐々に南下していったんは西日本から遠ざかるが、2月1日正午には別の帯の先が九州に到達する。

   国内でも、最近はさまざまな「対策グッズ」が販売されるようになってきた。日常生活では、専用マスクが有効だ。1月29日放送の「ワイド!スクランブル」(テレビ朝日系)では、マスクのパッケージなどに書かれている「PFE」に注目した。これは「微粒子ろ過効率」を意味し、この数値が99%なら0.1マイクロメートルの粒子を除去する割合が99%ということになる。PM2.5のサイズは2.5マイクロメートル、PM0.5でも0.5マイクロメートルなので、適切にマスクを装着していれば十分防止できるというわけだ。

   地理的に中国に近い福岡県では、「サンルーム」設置の問い合わせが増えているという。テラスやバルコニーをガラス張りにして、外気に触れずに日光を取り入れられる空間だ。ここに洗濯物を干せば、汚染物質が付着する心配がなくなる。ただし費用は数十万円単位と、決して安い買い物ではない。

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