統一教会からの脱会説得に賠償命令 家族側「実態踏まえていない」と反論

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   霊感商法にも関わっているとされる統一教会からの脱会を説得した家族らに対し、東京地裁が判決で、約480万円の賠償支払いを命じた。限度を逸脱したというのが理由だが、家族側は「実態を踏まえていない」と反論している。

   訴えを起こしているのは、韓国発祥の宗教団体「統一教会」の男性信者だ。

信者は、南京錠を取り付けられて監禁と主張

   新聞報道や統一教会ホームページによると、男性は、家族から東京都杉並区内のマンションに拉致され、6年前まで10年以上も監禁されていたと主張している。その間、玄関ドアの内側に南京錠を取り付けられるなどされ、家族やカウンセラーから信仰を捨てるように強要され続けたという。男性は、最後に家族からマンションを出るように言われたとし、その後、家族らに約2億円の損害賠償を求める訴訟を起こしていた。

   東京地裁の相沢哲裁判長は2014年1月28日、男性が拉致された事実はないとしたものの、外出や連絡を禁じるなど「長期間、男性の自由を大きく制約した」と認定した。そのことについては、「社会通念上の限度を逸脱している」と判決の理由を述べた。

   この判断については、ネット上では、賛否が分かれるような反応が出ている。

   賛意を示す意見では、「行動を制限したのは確かにやりすぎ」「一応宗教の自由はあるからねぇ。。。」といった声があった。一方で、「これはひどい判決ではないだろうか」「カルト側がこの判例を悪用しなければよいが」といった疑問も出ている。ジャーナリストとして霊感商法を批判してきた有田芳生参院議員も、判決を傍聴して、「事実認定に問題あり」とツイッターで疑問を投げかけた。

家族側「出ていこうと思えば、出ていける状態」

   家族側の代理人をしている山口貴士弁護士は、取材に対し、「行動の自由を大幅に制約していたという認定は事実誤認であり、不本意な判決」だと答えた。そして、「マンションでの共同生活の実態を踏まえていない」として、控訴する考えを示した。

   山口弁護士によると、マンション生活の初期に統一教会からの防衛のため、一時的に南京錠を付けたことはあるものの、男性について、「出ていこうと思えば、出ていける状態だった」とした。

「暴れたり騒いだりしたのは兄がいたときだけで、母や妹だけがいたときには、出て行こうと思えば出て行けるにも関わらず、マンションを離れなかった。彼は、カウンセラーが家に来ることにも同意していた。家族は、真面目に話し合いをしないなら出て行くようにとも繰り返し伝えていた。彼自身は、家族を信仰に導きたかったことなどもあって、出て行かなかったのでは」

   信教の自由を侵害しないかについては、こう説明する。

「統一教会のような反社会的な宗教団体の信者に対し、家族が信仰に疑問を持ち、もう一度考えるように求める権利も信教の自由の範囲内です。本件では、脱会を強要した事実はありません。話し合いが嫌なら出て行けばよかったのに、出ていかずに、マンションに止まり続けたので、信教の自由の侵害にはならないと考えています」
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