家族側「出ていこうと思えば、出ていける状態」
家族側の代理人をしている山口貴士弁護士は、取材に対し、「行動の自由を大幅に制約していたという認定は事実誤認であり、不本意な判決」だと答えた。そして、「マンションでの共同生活の実態を踏まえていない」として、控訴する考えを示した。
山口弁護士によると、マンション生活の初期に統一教会からの防衛のため、一時的に南京錠を付けたことはあるものの、男性について、「出ていこうと思えば、出ていける状態だった」とした。
「暴れたり騒いだりしたのは兄がいたときだけで、母や妹だけがいたときには、出て行こうと思えば出て行けるにも関わらず、マンションを離れなかった。彼は、カウンセラーが家に来ることにも同意していた。家族は、真面目に話し合いをしないなら出て行くようにとも繰り返し伝えていた。彼自身は、家族を信仰に導きたかったことなどもあって、出て行かなかったのでは」
信教の自由を侵害しないかについては、こう説明する。
「統一教会のような反社会的な宗教団体の信者に対し、家族が信仰に疑問を持ち、もう一度考えるように求める権利も信教の自由の範囲内です。本件では、脱会を強要した事実はありません。話し合いが嫌なら出て行けばよかったのに、出ていかずに、マンションに止まり続けたので、信教の自由の侵害にはならないと考えています」