ソチ五輪施設いまだに「突貫工事」 一部はオープンに間に合わない可能性濃厚

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   ロシア・ソチで行われる冬季五輪の開会まで、あと1週間あまりとなった。4年に1度の冬の祭典に、世界の注目が集まっている。

   ところが、開会式まで「秒読み段階」となっているこの時期に、競技施設の一部や周辺環境で未整備な部分があるという。地元ソチのブロガーは、会場周辺での工事の遅れを示す写真をインターネット上に何枚も投稿していた。

スキーフリースタイル競技場周辺「ぬかるんでひどい」

ソチ五輪公式サイトより
ソチ五輪公式サイトより

   ソチ五輪の施設工事は、かねてから遅れが指摘されていた。2013年9月には、現地を視察したロシアのウラジミール・プーチン大統領が、工事の失敗や遅れを厳しく追及し、現場に「活」を入れていた。

   開会10日前に当たる2014年1月28日、カナダのCTVニュース電子版は「開会式までカウントダウン、ソチは間に合うか」と題した記事を配信した。五輪会場の外側には、材木や建設時に生じた残骸がうず高く積みあがっているという。記者が訪れたスキーのフリースタイルの競技場はいまだに工事中で、ほかにも未完成の施設があるそうだ。

   アイスホッケーやスケート競技の会場でも、工事は続いているという。そこにも大量の製材が置かれていたが、建設作業員の数が十分そろっているように見えなかったと指摘する。1月22日付の米ニューヨークタイムズ電子版でも、フリースタイル会場の周辺が「ぬかるんでいてひどい状態」、また一応は完成している施設も「最後の最後まで手直しが続く」としている。それでも現場監督は、「工事の進ちょくは、信じられないほどのスピード」と胸を張り、「たとえ完成しなくても、雪が覆い隠してくれるよ」と本気か冗談か分からないひと言を口にしていた。

   地元ソチのブロガーが運営する「Blogsochi.ru」には1月23日付で、五輪会場周辺地域を撮影したとみられる写真がいくつも掲載された。「五輪会場から1マイル(1.6キロ)ほど離れた場所」と題した写真には、大通りに沿ってつくられた歩道のコンクリート舗装が間に合わずに土が一部むき出しになっていたり、大量の土砂にゴミやガラクタが交じって道路脇に山をつくっていたりする様子が写っている。ほかにも、だだっ広い建設現場に鉄骨や資材が積まれたまま、あるいは建築が中断したとみられるホテルと、五輪直前の街の風景とは思えない。開会式15日前に撮影した写真ということなので、急ピッチで工事を進めても間に合わないだろう。

冬季五輪史上最大の5兆円を投じた

   カナダCTVニュースが報じたように、どの写真にも作業員の姿がまばらにしか確認できないのも気になる。人数が足りていないのだろうか。また、めくれあがっているアスファルトや歩道の脇には空きびんやペットボトルが無造作に捨てられ、薄汚さを感じさせる。

   同じような工期の遅れは、2004年のアテネ五輪でも起きた。採算度外視で突貫工事を重ね、何とか大会には間に合わせたが後には多額のツケが残った。ギリシャ政府の借金が市民に重くのしかかり、後の財政危機につながったとの見方もある。

   ソチ五輪では、施設の建設をはじめ道路などインフラ整備に約500億ドル(約5兆円)を投じたとされる。冬季五輪史上最大の金額だ。ここまで多額の出費をしながら、「施設が完成しなかった」では許されないだろう。

   テロ対策も欠かせない。現にロシア南部の都市ボルゴグラードでは2013年12月末に連続して自爆テロが発生し、武装勢力が五輪開催中にテロ攻撃を予告している。万全の対策を期すため、さらに費用がかさむのは明らかだ。

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