サーベラスは売り抜けるチャンスと判断
これで、西武経営陣とサーベラスの関係はこう着状態になったが、緊張関係が続く中でも上場に向けた協議は続けられた。
両者の距離を縮めたのは、それぞれの努力や歩み寄りではなく、アベノミクスだった。サーベラスはTOBを含め西武に約1200億円を投じているが、これは投資家から集めたカネで、「塩漬け」にしているわけにはいかない。安倍晋三政権誕生後の好調な株式市況の中でなら、公開株価もサーベラスが目論んだと言われる1株2000円前後に近づくことが見込め、売り抜けるチャンスと判断し、上場申請を容認したとみられる。2020年には東京五輪開催を控えてホテル業界などの見通しも明るくなっており、西武HDの業績も上向く期待も、サーベラスの路線転換を後押ししたようだ。