「トヨタのスポーツカーへの回帰を示唆」
米国で、「TOYOTA FT1」は好評のようだ。CNETは「トヨタの退屈なデザインの時代は終わった」と歓迎。ブルームバーグも、「将来の高性能スポーツカーのデザインを先取りしたコンセプトクーペだ。トヨタのスポーツカーへの回帰を示唆している」と評価している。
トヨタの北米での売上高は、リーマン・ショック後、豊田章男社長の就任直後の2009~10年の大規模リコール問題により4期連続の減収となったが、12年以降は急回復。いまや北米市場は世界販売の「けん引役」だ。
カムリやカローラ、ハイブリッドカーのプリウスといった経済性や堅実性で知られるモデルが売れ筋だが、そうした中でトヨタがスポーツクーペのFT1をデトロイトモーターショーにぶつけてきた背景には、「スバルと共同開発したFRスポーツカー、サイオンFR‐S(日本名「トヨタ86」)の成功に自信をもったのではないか」と、CNETはみている。
数字のうえでも、トヨタは自信を取り戻しているに違いない。アベノミクスによる円安効果があったとはいえ、2013年11月に発表した14年3月期連結業績予想(米国会計基準)は、本業のもうけを示す営業利益で前期比66.6%増の2兆2000億円を見込んでいる。これはリーマン・ショック前の08年3月期に記録した過去最高益(2兆2703億円)に迫る好業績だ。
公開された真紅のFT1は、就任6年目となる豊田章男社長の「自信」の表れでもあるのかもしれない。