スポンサーは三菱東京UFJか
もともと、サントリーはM&Aに積極的な企業。2009年にはニュージーランドの清涼飲料メーカー「フルコア・グループ」を約750億円で、フランスの清涼飲料メーカー「オランジーナ・シュウェップス・グループ」を約3000億円でそれぞれ買収。2013年には英グラクソ・スミスクラインから有力飲料ブランドを約2100億円で取得した。2009年に模索したキリンHDとの経営統合も、世界で戦うためだった(2010年に破談)。2013年に清涼飲料を扱う子会社のサントリー食品インターナショナルを東証1部に上場させたのは、M&A資金を得るというのが大きな目的だった。
サントリーは国内でビーム社商品を扱うなど良好な関係を築いてきた。ビーム社は強力なブランドだけでなく、新興国への販売網も充実している。スピリッツは現状では、先進国を中心に飲まれているが、今後所得水準の上昇に伴って、新興国での拡大が見込まれている。一体的な販売と商品開発を進め、世界で戦う将来像を描く。
サントリーが扱う製品の中で、ビールや清涼飲料は、大量生産、大量消費型のビジネスモデルといえる。これに対して、樽で長期間熟成させるウイスキーなどは、質がなによりも大切だ。サントリー流の「ものづくり」が、世界市場で試されるといっても過言ではない。ビーム社とは技術交流を深め、味の良さも追求する。
買収資金1兆6500億円の大半は、当面、三菱東京UFJ銀行からの融資でまかなう。キリンHDやアサヒグループHDなど、ライバル社に比べて財務内容が悪くなるのは確実だ。「高い買い物」といわれないだけの相乗効果を生み出すことができるかが問われそうだ。