告示の前日になって、東京都知事選でようやく候補者の公約が出そろった。都知事選の争点にすべきでないという意見もあるが、原発への取り組み方はやはり一つのポイントだ。
マスコミ報道の焦点となっている2人のうち、細川護煕氏は原発即ゼロ、舛添要一氏は脱原発。両者の違いは、今年(2014年)中に差し迫った再稼働を認めるかどうかの違いだ。マスコミは再稼働推進と再稼働反対に分かれて、それぞれの主張を繰り返している。推進派の論点は、当面のコスト高と将来的なエネルギー供給の不安だ。再稼働反対派は、要するに倫理として原発を許せないので即止めよという。両者の溝は埋めがたく、両者には妥協の余地はないように見える。
「年数」設定しないと、フェアな議論ではない
ただし、当面の再稼働ではなく、将来の話にすると、妥協点は見えてくる。さすがに推進派の中でも、原発の新増設を積極的に認める人はあまりいない。となれば、40~50年後には原発ゼロと考えてよい。要するに、原発ゼロの到達年で考えると、今即ゼロの再稼働反対と将来ゼロの再稼働推進とに分けることができる。
ただし、問題は、将来ゼロといいながらズルズルと原発を動かしつづけて、「原発ゼロ」が形骸化することだろうし、ゼロにしても、もう少し見えるところで年数を設定しないと、どんな立場にとってもフェアではない。
ここで、一つ具体的な提案をしてみよう。いまある原発を東京都が買い取るのだ。東電の原発は、東電のバランスシートでは7492億円だ。この簿価で買うか、それ以下の「適正価格」で買うかのポイントはあるが、東京都にできない相談ではない。