いまの上昇は「南アの労使問題」がきっかけ
「金からプラチナ」の資金の流れは、はっきりしてきた。国際指標となるニューヨーク市場の金先物(中心限月)は2014年1月20日の時間外取引で1トロイオンス1260ドル前後、プラチナは同1460ドル前後を付けた。プラチナが200ドル(15.8%)ほど高くなり、欧州の債務危機が深刻化し、金がプラチナを上回った2011年8月以降、両者の価格差は最大だ。
米国の景気回復で金が投資対象に選ばれにくくなったのは確かなのかもしれない。ただ、「景気回復が(上昇の)要因ではありません」と、金融・貴金属アナリストの亀井幸一郎氏はクギを刺す。
プラチナは自動車触媒、なかでもディーゼル車用に利用されるケースが多いが、その主力の欧州市場の景気回復が鈍いためだ。
では、上昇の原因は何か――。亀井氏は、「南アフリカの労使問題が価格の刺激材料になりました」と指摘。「大手鉱山会社と労働組合との賃上げ交渉が難航して、労組がストライキの決行を決議したといいます。主力鉱山でストが始まるとの見方が強まっていて、それに伴い供給不足に陥るとみられています」と説明する。
プラチナは価格変動が激しい。リーマン・ショック後には1トロイオンス2300ドルから、一気に780ドルまで下落したことがある。「いまのプラチナの価格水準は1460ドル程度で、それほど無茶苦茶に高い水準ではありません。ただ、(南ア問題など)不確定要素が多く、いまは飛びつかないで見極めたいところですね」と、亀井氏は話している。