ユーストリーム「サービス有料化」へ軸足 日本でも無料ユーザーに「利用制限」?

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   個人ユーザーが動画を撮影してインターネット上に投稿、あるいはストリーミングで生中継する楽しみ方は、今日では広く普及してきた。

   配信サービスのひとつ、ユーストリームはサービスの有料化へと徐々に軸足を移しつつあるようだ。競合相手が増えるなか、収益の柱を確立するうえで他社との差別化を図ろうとしている様子が垣間見える。

無料アカウントの動画は30日間で削除

大相撲の有料配信を始めたユーストリーム
大相撲の有料配信を始めたユーストリーム

   国内の主要な投稿型動画サイトには、ユーストリームのほかユーチューブやニコニコ動画が挙げられる。中でもユーストリームは生中継に力点を置き、イベントやエンターテインメント、スポーツなどをライブで流すスタイルが中心だ。ユニークな試みもある。2014年1月12日~26日に行われる大相撲初場所の全取組を、初日から千秋楽まで配信している。有料だが、海外でも視聴可能だ。

   同様のサービスで最も強大なのが、世界中に利用者を持つユーチューブ。2013年には月間ユニークユーザー数が10億人を突破している。ただし生中継サービスの歴史は意外と浅く、2011年4月のスタートとユーストリームよりも遅い。ニコ動も生番組の配信を行うが、ここは有料会員が太い収入源に成長した。人気のある中継の場合、視聴者が殺到すると課金ユーザーが優先となって、無料の利用者は「追い出される」ことがある。

   ユーストリームは過去に、ミュージシャンの宇多田ヒカルさんや坂本龍一さんのライブを無料中継する取り組みが話題を集めた。ただ最近は、有料のメニューを充実させる方針を打ち出しているようだ。同社のおひざ元である米国では、無料の「ベーシックアカウント」を持つ利用者に対して、動画の保存期間を最長30日間に限定し、それ以降は自動的に削除する措置を講じた。「過去動画」として、期間無制限でサイト上に残しておくためには、月額19.99ドル(約2077円)を支払って「ストレージ拡張プラン」に加入するよう勧めている。

   現状では、日本国内ではこの制限に関して公式ウェブサイト上に記載がなく、適用されていないようだ。ただし、今後は他の地域と足並みをそろえるために同じルールを設ける可能性はある。

国内では10代に圧倒的支持を得る「ツイキャス」

   国内を見ると、ユーストリームが得意としてきた「無料生中継」で最近人気を集めているサービスがある。「ツイキャス」だ。スタートは2010年で、スマートフォンにアプリを入れたらすぐに生中継を始められる手軽さが若い世代に受け入れられた。ユーストリームもスマホ1台で配信できるが、専用カメラを用意してイベント中継や記者会見の映像を流すようなプロ向けのサービスもある。ツイキャスは、より「ビギナー向け」に特化していると言えなくもない。

   調査会社リビジェンが2014年1月7日に発表した、動画配信サービスに関するアンケート結果がある。500人を対象にしたもので、ツイキャスは知名度においてユーチューブやニコ動に及ばない。ただし10代に限っては39.2%が「知っている」と回答した。30代になると12.7%まで落ちるので、若者への浸透度が顕著なのが分かる。また「配信したことがある」と答えたのは4.6%で、ニコ動の5.8%に迫っていた。「気軽に動画配信できるツール」としての認知度が広がっているのだろう。ただユーストリームは調査対象から外れている。

   「ツイキャスのどのような点が楽しい・面白いと感じるか」との問いには、16歳の高校生が「ニコ生より手軽で簡単で、暇潰しにはなる」「携帯一つで簡単に配信できるところ」と回答した。ツイッターとの連動性を生かして、ツイッター上で知り合ったユーザーが配信動画を見に来てくれるという声もあった。10代の中高生にとっては、画質の高さや凝った番組演出などは必要なく、気が向いたときに自力で生中継できる簡易さ、友人らに配信動画を視聴してもらう仕掛けがあることの方が重要のようだ。

   今や「老舗」となったユーストリームにとっては、こうした新興サービスと住み分けを図り、収益モデルを固めるうえで有料化が避けられないのかもしれない。米オンラインITメディア「TechCrunch」2014年1月17日付の記事によると、共同創設者で最高経営責任者のブラッド・ハンスタブル氏が取材に対して、同社の成長を支えるほとんどの部分は既存の大手メディア企業との協業にあると答えている。記事では、ユーストリームが個人への課金のみならず、企業向けの有料サービスを本格化させていくとの見方を示した。

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