国内では10代に圧倒的支持を得る「ツイキャス」
国内を見ると、ユーストリームが得意としてきた「無料生中継」で最近人気を集めているサービスがある。「ツイキャス」だ。スタートは2010年で、スマートフォンにアプリを入れたらすぐに生中継を始められる手軽さが若い世代に受け入れられた。ユーストリームもスマホ1台で配信できるが、専用カメラを用意してイベント中継や記者会見の映像を流すようなプロ向けのサービスもある。ツイキャスは、より「ビギナー向け」に特化していると言えなくもない。
調査会社リビジェンが2014年1月7日に発表した、動画配信サービスに関するアンケート結果がある。500人を対象にしたもので、ツイキャスは知名度においてユーチューブやニコ動に及ばない。ただし10代に限っては39.2%が「知っている」と回答した。30代になると12.7%まで落ちるので、若者への浸透度が顕著なのが分かる。また「配信したことがある」と答えたのは4.6%で、ニコ動の5.8%に迫っていた。「気軽に動画配信できるツール」としての認知度が広がっているのだろう。ただユーストリームは調査対象から外れている。
「ツイキャスのどのような点が楽しい・面白いと感じるか」との問いには、16歳の高校生が「ニコ生より手軽で簡単で、暇潰しにはなる」「携帯一つで簡単に配信できるところ」と回答した。ツイッターとの連動性を生かして、ツイッター上で知り合ったユーザーが配信動画を見に来てくれるという声もあった。10代の中高生にとっては、画質の高さや凝った番組演出などは必要なく、気が向いたときに自力で生中継できる簡易さ、友人らに配信動画を視聴してもらう仕掛けがあることの方が重要のようだ。
今や「老舗」となったユーストリームにとっては、こうした新興サービスと住み分けを図り、収益モデルを固めるうえで有料化が避けられないのかもしれない。米オンラインITメディア「TechCrunch」2014年1月17日付の記事によると、共同創設者で最高経営責任者のブラッド・ハンスタブル氏が取材に対して、同社の成長を支えるほとんどの部分は既存の大手メディア企業との協業にあると答えている。記事では、ユーストリームが個人への課金のみならず、企業向けの有料サービスを本格化させていくとの見方を示した。