経営苦しい私大は契約更新ちらつかせて「タダ働き」要求
ミスが増えている背景には、問題を作成する環境が厳しさを増していることがある。最近では、受験機会を増やして入学者数を確保するために、一般入試だけで3~4回受験できる大学も多い。規模が大きい大学では、文系3教科で8~9回受験できるところもある。その分問題作成の負担が増し、人員が足らなくなってチェックも行き届かなくなりがちだ。
特に状況が厳しいのは私大で、1問作成すると約20万円の手当が出る比較的恵まれたケースもある一方、財務状況が厳しい大学では、非常勤講師に対して次年度の契約更新をちらつかせながら無報酬で問題作成を要求するケースもあるという。問題作成者に無理を要求している分、品質も下がるリスクが高いという訳だ。
文科省が07年度に行った調査では、71校が問題作成を予備校や教育関連企業に外注したことが明らかになっている。この時点で文科省は、機密保持や中立性確保の面で望ましくないとして「自前」での作成を求めていた。ところが、6年後の13年4~6月に改めて調査したところ、外注した大学は98校と38%も増えていた。大学側の「背に腹はかえられない」状況がうかがえる。