日立社長に58歳東原敏昭専務が昇格 幹部に東大多い中で地方の徳島大卒は異例

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   国内首位の総合電機・重電メーカー、日立製作所のトップが2014年4月1日付で交代する。新社長には東原敏昭執行役専務(58)が昇格、会長には中西宏明社長(67)が就き、川村隆会長(74)は退任して財界活動も引退する。経営陣の若返りを図り、世界で勝ち抜く企業への脱皮を図る。

   東原氏は徳島県小松島市出身。徳島大工学部を卒業後、日立に入社し、工場の生産設備設計や、鉄道の運行システム設計、電力、医療などさまざまな分野を経験してきた。1989年には米ボストン大大学院(コンピュータサイエンス専攻)に留学したほか、2008年にはドイツ子会社のトップに就任し、発電設備を売り歩いた国際派でもある。

将来の日立を担う人材とされ社長昇格は「順当」だった

経営陣刷新でどう変わるか(画像は「日立製作所」公式サイト)
経営陣刷新でどう変わるか(画像は「日立製作所」公式サイト)

   東大卒が多い日立幹部の中で、地方の徳島大卒は異例。だが社内では「将来の日立を担う人材」として、ほかの2専務とともに「三銃士」とも言われており、社長昇格は「順当」だった。

   この時期の社長交代も、周囲の予想通り。川村-中西体制が丸4年の節目を迎えることに加え、不採算事業の大胆なリストラなどによって成長への土台は整ったためだ。帝国データバンクの調査では、売上高1000億円以上の企業の社長平均年齢は60.7歳(2012年)。67歳の中西氏、74歳の川村氏は高齢の部類で、50代へのバトンタッチは両氏の念願だった。

   もちろん、最近の日立の好業績は、川村氏、中西氏の功績によるところが大きい。川村氏が会長兼社長に就任したのは、リーマン・ショックなどにより巨額赤字を計上した直後。前社長より7歳年上で、子会社会長から本体に返り咲くという異例の登板だった。

今後はいかに成長分野で収益を拡大させるか

   川村氏は「脱・総合電機」を宣言。2010年に社長に就任した中西氏とともに、日立マクセルなど上場5社の完全子会社化▽ハードディスク駆動装置事業の売却▽薄型テレビの国内生産終了▽三菱重工業と火力発電事業統合――など、さまざまな構造改革を断行した。その結果、2014年3月期の連結業績は、過去最高の営業利益が視野に入るほどのV字回復を成し遂げている。

   不採算事業の整理に片を付け、今後はいかに成長分野で収益を拡大させるかという新たなステージに入る。米GE(ゼネラル・エレクトリック)や独シーメンスなど欧米のライバルに比べ、日立の収益力はまだ低い。海外売上高比率を2015年度に50%まで高める目標を掲げるが、現状は4割強で、道のりは平坦ではない。

   東原氏は「現場に強く、フットワークが軽い」(中西氏)のが特徴。CEO(最高経営責任者)、COO(最高執行責任者)という役職を新設し、中西会長兼CEO、東原社長兼COOという二人三脚で、スピードを上げて経営改革に取り組む。単に製品を売るだけでなく、メンテナンスなどのアフターサービス分野でも顧客に密着して収益拡大を図る。連結売上高9兆円、従業員数約32万人という「巨艦」の舵取りをどう担うのか、注目される。

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