今後はいかに成長分野で収益を拡大させるか
川村氏は「脱・総合電機」を宣言。2010年に社長に就任した中西氏とともに、日立マクセルなど上場5社の完全子会社化▽ハードディスク駆動装置事業の売却▽薄型テレビの国内生産終了▽三菱重工業と火力発電事業統合――など、さまざまな構造改革を断行した。その結果、2014年3月期の連結業績は、過去最高の営業利益が視野に入るほどのV字回復を成し遂げている。
不採算事業の整理に片を付け、今後はいかに成長分野で収益を拡大させるかという新たなステージに入る。米GE(ゼネラル・エレクトリック)や独シーメンスなど欧米のライバルに比べ、日立の収益力はまだ低い。海外売上高比率を2015年度に50%まで高める目標を掲げるが、現状は4割強で、道のりは平坦ではない。
東原氏は「現場に強く、フットワークが軽い」(中西氏)のが特徴。CEO(最高経営責任者)、COO(最高執行責任者)という役職を新設し、中西会長兼CEO、東原社長兼COOという二人三脚で、スピードを上げて経営改革に取り組む。単に製品を売るだけでなく、メンテナンスなどのアフターサービス分野でも顧客に密着して収益拡大を図る。連結売上高9兆円、従業員数約32万人という「巨艦」の舵取りをどう担うのか、注目される。