人気漫画「美味しんぼ」の原作者、雁屋哲さん(72)が、福島へ取材に行って鼻血が止まらなくなったなどとインタビューで話したと一部で報じられ、物議を醸している。
原発事故に揺れる福島県の食事情を漫画で描こうと、雁屋哲さんは、2011年11月からの1年間で3回現地を訪れている。それを元にした「福島の真実」編がビッグコミックスピリッツ(小学館)の13年2月11日号から始まり、ネット上でも話題になった。
「あの周辺は人は住んではいけない」
今回、雁屋さんにインタビューしたのは、オーストラリアの情報を紹介している日本語ミニコミ紙「日豪プレス」だ。記事は、そのサイト上で、「原発問題を考える」と題したシリーズの1つとして14年1月13日に掲載された。インタビューは、オーストラリアにある雁屋さんの自宅で行われたそうだ。
記者から現地の放射能被害について聞かれると、雁屋さんは、目に見えないのが怖いとして、自らの体験をこう語った。
「取材から帰って夕食を食べている時に、突然鼻血が出て止まらなくなったんです。なんだこれは、と。今までの人生で鼻血なんて出すことはほとんどなかったので驚きました。その後も夜になると鼻血が出るということが何日か続きました」
病院に行っても、放射能とは結び付けられないと言われたというが、雁屋さんは、さらに疑問を投げかける。「取材後にすごく疲労感を感じるようになった」といい、同行スタッフや当時の福島県双葉町の町長も、鼻血や倦怠感に悩まされていたとした。現地の子供たちもだるさを訴えていたとし、「あの周辺は人は住んではいけない所になってしまった」と漏らしている。
雁屋さんは、福島の食べ物を食べて応援することも疑問だとした。特に、漁業は、何十年経っても復活は無理なのではと指摘し、東北地方の海産物の多くについて、「恐らく食べられなくなるでしょうね」と言っている。