「株式会社○○を退職しました」――このような報告をするブログを目にする機会が増えてきた。元職場へ感謝を述べつつ退職理由や業務内容を簡単に書いて、今後の展望を語るのが基本的なフォーマットだ。外部からは見えづらい社内の雰囲気も知れるため、ネットで注目の集まるコンテンツの1つとなっている。
次々に公開されるこうした「退職エントリ」をまとめたソーシャル退職情報サイト「退職しました」も登場した。
求職情報も投稿可能
2014年1月上旬から始まった話題のサービスで、退職エントリを書いた人のツイッターID、転職前・後の勤め先がズラリと一覧表示されている。ツイッターにログイン・認証をすると退職情報を投稿でき、退職エントリにリンクで飛べる仕組みだ。退職した本人が求職情報を掲載することもできる。
投稿された情報を集計した「人気の退職企業」「人気の転職先企業」ランキングも備える。「はてな」(18退職)、「ヤフー」(15退職)「ドワンゴ」(13退職)が「人気の退職企業」上位3企業で、「人気の転職先企業」は「DeNA」(15転職)、「サイバーエージェント」(9転職)、「クックパッド」(9転職)という順だった。
「退職しました」を開発した@kituneponyoさんは、「みんなの職歴を可視化できるサービスがあったら面白い」という思いが以前からあったという。転職サイトやSNSの情報は信頼できるかどうかの判断が難しく、比較的信頼できる退職エントリのまとめもあるが、「どれもただのリンク集で、データとしての価値がイマイチ足りない」。
そこで、「各人材会社や転職サイトなどが内々でやっていて大事に隠し持っていることと同じことを、ネット上に公開されているデータを寄せ集めてできるのではないか」という思いで開発した。
サイトは白を基調としたシンプルなデザインだ。タイトル下部には「退職情報ナンバーワン」「平成退職合戦」「No退職、No Life」などの言葉がリロードするたびに表示され、利用者に受けているようだ。
ネットでは同サイトについて、
「おもしろいじゃねーかw」「こっちのほうが参考になる」「人気の退職企業"のランキングを見るに哀愁が漂う。。」「ブラックで有名な会社が退職リストにない気がする」
などと書き込まれている。
「『退職エントリ=IT業界』 ってイメージが強すぎ」
退職情報をユーモアも交えてオープンにする態度は、流動性が高く専門技術が要求されるIT業界特有の文化という見方も強いが、最近では広告・出版などの業界出身者が退職エントリを公開する例も出てきた。@kituneponyoさんはツイッターで「とりあえず、まず『退職エントリ=IT業界』 ってイメージが強すぎるのでその幻想をぶっつぶさないといけない」と意気込んでいる。
また、退職に関するウェブサービスには@yoyaさんの開発した「退職届けPDFメーカー」というものもある。入力欄に退職理由や日付、部署などを打ち込み、ボタンを押すだけで体裁の整ったPDFファイルを生成できるサービスだ。印刷して印鑑を押すだけでよく、提出までの手間が軽くなる。退職届にまで利便性を追求する姿勢に、「ちょっと笑ってしまった。こんなのまであるんだ」と好評のようだ。