立命館大講師が「朝鮮学校無償化嘆願書」記入を強要? ネットの「炎上」に学生やOBはデマだ誤報だと反発

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   立命館大学の女性講師が講義を行う際に出席カードと一緒に朝鮮学校無償化の嘆願書を配布し、学生に記入させている――そんな情報がネットに流れ、複数のネットニュースがこれを報じ、大手ポータルサイトにも記事が掲載されたことで「講師が学生の単位と引き換えに脅迫」「思想矯正候補としてリスト入り」などと大騒ぎになった。

   立命館大学は2014年1月15日にこの問題についての説明を大学のホームページに掲載し、嘆願書を配ったのは学生で組織している団体であり、女性講師は関与していないが誤解を招いてしまったことに対する謝罪を行った。

「書くか書かないかで学生の立ち位置や意志を探る」

騒動はここから始まった。「こんなカード書かせるから立命は糞」
騒動はここから始まった。「こんなカード書かせるから立命は糞」

   ネットニュース「ガジェット通信」などが2014年1月13日に配信した記事によれば、立命館大学コリア研究センターの女性研究員が「東アジアと朝鮮半島」という講義で出席カードと一緒に朝鮮学校無償化の嘆願書を学生に配っている。学生は日付、所属大学名、名前、そしてメッセージなどを記入させられている。その嘆願書は朝鮮学校差別に反対する在日朝鮮人大学生連絡会に送られることになる、として、女性講師と嘆願書の写真をアップした。

「嘆願書に記載するかどうかは任意なようだが、書くか書かないかで講師が学生の立ち位置や意志を探ることが出来るのは事実である」

などと書いている。

   このニュースは「ニコニコ動画」や「アメーバ」といったポータルサイトに掲載され、

「反日的な論文を書かないと単位がもらえないという噂は、本当なんだろうな。汚いことばかりしやがって」
「これはパワーハラスメントだね。大学は内部委員会立ち上げて精査しないと燃え上がることになるぞ」
「文部科学省に通報して立命館の補助金を打ち切らせる嘆願書を書こう」

などとネットで大きな騒動になってしまった。

配布したのは講師ではなく朝鮮系の文化研究会の学生

   こうした騒ぎの中で、立命館大学の学生やOBと思われる人たちがネットで「デマに決まっている」などと反発し、一連の情報の出所を調査し始めた。

   見つかったのは匿名の人物のツイッターで、14年1月10日付けに、嘆願書の写真と共に、

「『東アジアと朝鮮半島』という授業にて出席カードとともにこんなカードを書かせるから立命は糞」
「よく考えたら先生の名前が『金友子』だった」

などと書き込んでいる。

   ところがその後、この講師の講義に出たという学生から、

「書かせたってのは嘘ですね。これは大学や先生ではなくて、朝鮮系の文化研究会の学生がよかったら書いて下さいって言ってただけです」

といったツイートも現れた。

   誤報の可能性があると思ったためか「ガジェット通信」などのニュースサイトからこの記事は14年1月14日までに削除されている。またこの記事では「立命館大学コリア研究センター」の女性研究員とされているが、同センターによると、かなり前に同センターの所属ではなくなっているという。

   立命館大学は14年1月15日、公式ホームページで「授業内における学生団体の要請活動への本学嘱託講師の対応について」という説明を行った。それによれば、13年12月13日に授業で朝鮮学校無償化に関するアピールをしたいとの要望が受講生からありそれを許可した。学生団体は無償化の説明と嘆願書の配布、回収をした。その際に講師は嘆願書への署名は任意で、署名と成績とは無関係だとアナウンスした。回収は学生団体が行ったため講師は嘆願書の提出者や記入内容について関知していない、という。こうしたことが講師自身が嘆願書への署名を求めたかのような誤解を与えてしまった。

「多くの方にご心配とご迷惑をおかけしましたことを心からお詫び申し上げます。また、今後、このようなことが再発しないように徹底してまいります」

と謝罪している。

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